クルマを動かす「駆動チェーン」の仕組み
車を知りたい
先生、駆動チェーンってなんですか? 車のエンジンの動力をタイヤに伝えるのに、なんでチェーンを使うんですか?
自動車研究家
いい質問だね! 駆動チェーンは、主に四輪駆動車の一部で使われている動力伝達方式の一つだよ。 エンジンの動力を伝えるには、歯車を使うのが一般的だけど、場所や設計の自由度を考えると、チェーンの方が有利な場合があるんだ。
車を知りたい
へえ、そうなんですね。でも、チェーンだと音がうるさかったり、すぐに伸びてしまったりしませんか?
自動車研究家
昔はそうだったかもしれないけど、今は「サイレントチェーン」といって、音が静かで耐久性も高いチェーンが使われているんだよ。だから、安心して乗れるんだよ。
駆動チェーンとは。
自動車用語の「駆動チェーン」について説明します。自動車の駆動系では、動力を伝えるために効率的な歯車を使うのが一般的ですが、チェーンが使われることもあります。例えば、四輪駆動車で後輪駆動ベースのトランスファーが使われている場合、前輪を駆動するための出力軸を動かすのにチェーンが使われています。チェーンを使う利点は、ギアを使う場合と比べて軽量であること、そしてシャフトとシャフトの中心距離を自由に設計できることです。ギアで動力を伝達する場合、回転方向を同じにするためには中間にアイドラーギアを入れる必要があり、中心距離を長くしようとするとアイドラーギアを大きくしなければなりません。しかし、アイドラーギアが大きすぎると、スペースや重量の面で不利になります。そこで、駆動チェーンには、噛み合い音が小さく、大きな力を伝達できるサイレントチェーンが一般的に採用されています。
自動車駆動系における歯車とチェーン
自動車の駆動系において、エンジンが生み出すパワーを効率的にタイヤに伝えるためには、様々な機構が組み合わされています。その中でも、歯車とチェーンは、動力を伝達する上で重要な役割を担っています。
歯車は、大きさの異なる歯車を組み合わせることで、回転速度やトルクを調整することができます。例えば、エンジンの回転力をタイヤに伝える場合、エンジンの高回転数を、タイヤが無理なく回転できる低回転数に変換する必要があります。これを歯車比を変えることで実現しています。
一方、チェーンは、二つの歯車を物理的に連結し、動力を確実に伝える役割を担います。タイミングチェーンのように、エンジンのバルブ開閉タイミングを制御するために使われるものもあります。
このように、歯車とチェーンは、自動車の駆動系において、複雑な動きを制御し、スムーズな走行を実現するために欠かせない要素と言えるでしょう。
4WD車に見る駆動チェーンの役割
4WD車は、その名の通り4つのタイヤ全てにエンジンからの動力を伝えることで、力強い走りを可能にするシステムです。
舗装路はもちろんのこと、雪道や砂利道など、悪路での走破性に優れていることが特徴です。
一般的な2WD車が前輪または後輪の2輪のみを駆動させているのに対し、4WD車はエンジンで発生させた動力をプロペラシャフトやトランスファー、デファレンシャルギアなどを介して4輪全てに伝達します。
これにより、2WD車よりも強力な駆動力を得ることができ、悪路でもタイヤがスリップしにくく、安定した走行を実現できます。
4WD車は、駆動方式によって様々な種類に分けられます。
例えば、常に4輪を駆動させるフルタイム4WDや、通常は2WDで走行し、路面状況に応じて4WDに切り替えるパートタイム4WDなどがあります。
このように、4WD車は駆動チェーンの仕組みを巧みに利用することで、様々な環境下で高い走破性を発揮します。
駆動チェーンのメリット:軽量化と設計の自由度
駆動方式の選択において、駆動チェーンは数々のメリットをもたらします。その中でも特に注目すべきは、車体全体の軽量化と設計の自由度向上です。
従来の駆動軸を用いた方式と比較して、駆動チェーンは部品点数を減らせるため、軽量化に貢献します。この軽量化は、燃費向上に繋がり、環境性能を高めることにも繋がります。また、駆動チェーンの採用は、車体設計の自由度を高めるという点でも大きなメリットがあります。駆動軸のように大きなスペースを必要としないため、車内空間を広くしたり、デザインの幅を広げたりすることが可能になります。
ギヤ伝達と比較した駆動チェーンの利点
駆動チェーンは、その構造上の特性から、ギヤ伝達と比べていくつかの利点を持っています。
まず、駆動チェーンは比較的長い距離の動力伝達が可能です。これは、複数の歯車を組み合わせるギヤ伝達よりも、チェーンとスプロケットの組み合わせの方が、設計の自由度が高いためです。この特徴は、エンジンと駆動輪が離れている場合が多い、オートバイや自転車などで特に有利に働きます。
また、駆動チェーンは衝撃吸収性に優れているという点もメリットとして挙げられます。チェーンの構造上、各コマにはわずかながら遊びが存在します。この遊びが、急激な負荷変動や衝撃を吸収するクッションの役割を果たし、駆動系全体へのダメージを軽減します。
さらに、駆動チェーンは製造コストが比較的低いという点も見逃せません。これは、複雑な形状の歯車を精密に加工する必要があるギヤ伝達と比べて、チェーンとスプロケットは比較的単純な構造であるためです。
このように、駆動チェーンはギヤ伝達と比べて多くの利点を持つため、様々な乗り物で広く採用されています。
サイレントチェーン:高性能駆動チェーンの代表例
自動車のエンジンが生み出す動力を、最終的にタイヤへと伝える重要な役割を担う駆動チェーン。その中でも、「サイレントチェーン」は、静粛性と高効率性を両立した高性能な駆動方式として知られています。
サイレントチェーン最大の特徴は、その名の通り静粛性の高さにあります。従来のローラーチェーンと比較して、歯とチェーンの接触面積が大きく、さらに特殊な形状を採用することで、動作時の振動や騒音を大幅に抑えることに成功しました。
また、伝達効率の高さもサイレントチェーンの大きなメリットです。フリクションロスが少なく、エンジンのパワーを無駄なくタイヤに伝えることが可能です。このため、燃費向上にも貢献します。
これらの優れた特性から、サイレントチェーンは、高級車や高出力車を中心に広く採用されています。静かで快適な乗り心地と、力強い走りを両立させるために、重要な役割を果たしているのです。