トルクコンバーターの心臓部!ステーターの役割とは?

トルクコンバーターの心臓部!ステーターの役割とは?

車を知りたい

先生、「ステーター」って、トルクコンバーターの中でどんな働きをしているんですか?説明文を読んでも、ちょっと難しくてよくわからないんです。

自動車研究家

なるほど。「ステーター」は、トルクコンバーターの中で、車が止まっている状態から発進する時などに、エンジンの力を効率的にタイヤに伝えるための重要な部品なんだ。簡単に言うと、羽根車に当たるオイルの流れを変えて、エンジンの力を増幅させる役割をしているんだよ。

車を知りたい

エンジンの力を増幅させる…? どうやってですか?

自動車研究家

ステーターは、片方向にしか回転しない特別なクラッチを持っているんだ。車が止まっている時は、このクラッチによってオイルの流れがせき止められて、その反力でエンジンの力が2倍近くにも増幅されるんだよ。そして、車が走り出すと、クラッチが回転を許すようになって、通常の回転になるんだ。

ステーターとは。

自動車用語の「ステーター」は、トルクコンバーター内でトルクを増幅させる役割を担う、ワンウェイクラッチ付きの羽根車です。

車が発進する時のような、出力軸が回転していないストール状態から、スリップ比(出力軸回転 ÷ 入力軸回転)が約0.83のカップリングポイントに達するまでは、タービン羽根からステーター羽根にオイルが流れ込みます。このオイルの流れによりステーターのワンウェイクラッチがロックされ、その反動トルクが出力軸であるタービンに加わることで、出力トルクが増幅される仕組みです。

トルク比(出力軸トルク ÷ 入力軸トルク)は、ストール時には約2倍になり、スリップ比に対して直線的に減少していき、カップリングポイントで1倍になります。

ステーターの素材には、アルミ合金やプラスチックが用いられ、ワンウェイクラッチにはローラータイプやスプラグタイプが採用されています。

トルクコンバーターの基本構造

トルクコンバーターの基本構造

トルクコンバーターは、大きく分けてポンプインペラ、タービンランナ、ステーターの3つの要素で構成されています。
エンジン動力を受けるポンプインペラは、ATF(オートマチックトランスミッションフルード)を回転させ、その勢いをタービンランナに伝達することで、滑らかに車を動かす役割を担います。
ステーターはポンプインペラとタービンランナの間に位置し、トルクコンバーターの効率を最大限に引き出す重要な役割を担っています。

ステーター:トルク増幅の要

ステーター:トルク増幅の要

トルクコンバーター内部で、ポンプタービンの間に配置されているのがステーターです。ステーターは、オイルの流れを制御することで、トルクコンバーターの効率的な動作を支えています。具体的には、タービンを出たオイルの流れを整え、再びポンプに効率よく送り返す役割を担っています。
もしステーターが存在しないと、タービンを出たオイルは乱れた状態でポンプに流れ込み、抵抗を生み出してしまいます。ステーターは、この抵抗を減らし、オイルの流れをスムーズにすることで、トルクの伝達効率を向上させているのです。

ワンウェイクラッチの仕組みと役割

ワンウェイクラッチの仕組みと役割

トルクコンバーター内部で、流体の方向を整え、動力を効率的に伝達するステーター。その中心的な機構であるワンウェイクラッチは、ステーターの重要な役割を担っています。

ワンウェイクラッチは、一方向にのみ回転を伝える機構です。トルクコンバーター内部では、ポンプインペラから送り出された作動油はタービンランナーを回転させた後、ステーターを通過して再びポンプインペラに戻ります。この時、作動油の流れが逆流してしまうと、トルク伝達が不安定になり、効率が低下してしまいます。

そこで、ワンウェイクラッチは、ステーターが一方向にのみ回転するように制御します。具体的には、作動油の流れが正常な向きである場合は、ステーターを固定し、逆流が発生する場合は、ステーターをフリーにすることで、作動油の抵抗を減らし、トルク伝達のロスを最小限に抑えます。

このように、ワンウェイクラッチは、トルクコンバーターの効率的な動作に欠かせない重要な役割を果たしているのです。

スリップ比とトルクの関係

スリップ比とトルクの関係

トルクコンバーター内部において、ステーターはポンプインペラとタービンランナの間にある重要な構成要素です。流体伝達による滑らかな動力伝達を実現する上で、ステーターは欠かせない役割を担っています。

特に、ステーターはトルクコンバーターの「スリップ比」と密接な関係があります。スリップ比とは、ポンプインペラ回転数に対するタービンランナ回転数の比率を示し、トルク伝達効率に大きく影響します。

発進時など、スリップ比が大きい状態では、ステーターはオイルの流れを効率的に制御し、タービンランナへのトルクを増大させます。その結果、スムーズな発進と加速が可能となります。

一方、車両の速度が上昇し、スリップ比が小さくなるにつれて、ステーターはフリーホイール機構によって回転抵抗を低減します。これにより、トルクコンバーターの伝達効率が向上し、燃費向上に貢献します。

このように、ステーターはスリップ比に応じてその役割を変化させることで、トルクコンバーターの性能を最大限に引き出し、快適な運転体験を提供しています。

ステーターの材質と種類

ステーターの材質と種類

ステーターは、その役割を果たす上で過酷な環境にさらされるため、材質選びも重要になります。
一般的に、ステーターには強度と耐久性に優れた金属が使用されます。
代表的な材質としては、アルミ合金やステンレス鋼などが挙げられます。

また、ステーターの種類もいくつか存在します。
例えば、羽根の角度を固定式にしたものや、オイルの流量を調整することで角度を変えることができる可変式のものなどがあります。
可変式のステーターは、状況に応じてトルクを増幅させる効率を変化させることができるため、燃費向上に貢献します。

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