AT車の進化:燃費と静粛性の両立へ
自動車の自動変速機(AT)は、近年、燃費向上と静粛性の向上の両立が求められるようになっています。特に、発進や加速時にエンジン回転数を抑え、燃費を向上させる技術として注目されているのが「ロックアップコンバーター」です。
従来のAT車は、エンジンとトランスミッションの間で動力の接続と遮断を行う「流体式トルクコンバーター」を用いていました。しかし、流体式トルクコンバーターは、滑らかで快適な変速が可能な反面、エネルギーロスが発生し、燃費が悪化する要因となっていました。
そこで登場したのが「ロックアップ機構」です。これは、トルクコンバーター内に設けられたクラッチを接続することで、エンジンとトランスミッションを直結させる機構です。エンジンとトランスミッションが直結することで、エネルギーロスが減少し、燃費が向上します。
「直結クラッチスリップ制御」は、このロックアップクラッチの接続を、走行状況に応じて細かく制御する技術です。従来は、ある程度の速度に達してからロックアップクラッチを完全に接続していましたが、直結クラッチスリップ制御では、発進時や低速走行時から、クラッチをわずかに滑らせながら接続します。これにより、
* 発進時や加速時のスムーズな加速感を実現
* エンジン回転数を低く抑え、燃費を向上
* 静粛性の向上
といった効果が期待できます。
直結クラッチスリップ制御は、燃費と静粛性を両立させるための重要な技術として、今後のAT車の進化に欠かせない技術と言えるでしょう。