電磁式リターダー:知られざる縁の下の力持ち

電磁式リターダー:知られざる縁の下の力持ち

車を知りたい

先生、「電磁式リターダー」ってなんですか? 難しそうな名前で、どんな仕組みか想像もつかないです。

自動車研究家

なるほど。「電磁式リターダー」は、主にトラックやバスに使われていて、ブレーキを補助する装置なんだ。 エンジンブレーキや排気ブレーキと組み合わせて使われることが多いよ。簡単に言うと、磁石の力でブレーキをかけるんだね。

車を知りたい

磁石の力でブレーキをかける? どうやってですか?

自動車研究家

リターダーの中には回転する金属の円盤があって、そこに電磁石で磁界をかけるんだ。すると、回転を邪魔する力が生まれてブレーキがかかるんだよ。この時、摩擦ではなく電磁力でブレーキをかけるから、摩耗が少ないのが利点の一つだね。

電磁式リターダーとは。

「電磁式リターダー」とは、トラックやバスに搭載されるブレーキ補助装置のことです。エンジンブレーキやエキゾーストブレーキと併用することで、より強力な制動力を発揮し、車両の速度を効果的に減速させることができます。

この装置は、トランスミッションとプロペラシャフトの間に設置され、ドラムまたはディスクと電磁石を利用してブレーキ力を発生させます。具体的には、回転する金属製のローターが電磁石によって生み出された磁界を横切るときに発生する渦電流を利用します。この渦電流はローターの回転方向とは逆向きの力となり、ブレーキとして作用します。発生した熱は、ローターから空気中に放出されます。

電磁石は車両のバッテリーから電力を供給されるため、低速時や停車時には作動しません。

欧州のアルプス山脈など、勾配のきつい山岳地帯を走行するバスには、このリターダーが必須の装備とされており、フランスのTelma社が主要なサプライヤーとなっています。日本では、日野自動車や三菱ふそうトラック・バスなども採用しています。

電磁式リターダーとは?

電磁式リターダーとは?

自動車の安全性を支える技術として、ブレーキシステムはなくてはならないものです。私たちが普段ブレーキと聞いて想像するのは、摩擦によって車の速度を落とすシステムでしょう。しかし、車の中には摩擦ではなく、電磁力を利用してブレーキを補助する「電磁式リターダー」というシステムが存在します。あまり聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、電磁式リターダーは大型トラックやバスといった大型車両を中心に、安全で効率的な走行を陰ながら支える、まさに「縁の下の力持ち」といえるでしょう。

その仕組みと動作原理

その仕組みと動作原理

ブレーキといえば、摩擦を利用して車輪の回転を止めるものが一般的ですが、電磁式リターダーは全く異なる原理で車両を減速させる、いわば「見えないブレーキ」です。

電磁式リターダーは、主に大型トラックやバスなどに搭載され、強力な磁場を発生させることで車両の運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、減速させます。その心臓部には、回転する金属製のローターと、強力な磁場を発生させる電磁石が備わっています。

車両の減速が必要になった際、電磁石に電流が流れます。すると、電磁石が強力な磁場を発生し、回転するローターに渦電流が発生します。この渦電流は磁場と反発し合い、ローターの回転を抑制する方向に力が働きます。これが、電磁式リターダーによる減速の仕組みです。

摩擦ブレーキのように物理的な接触を伴わないため、摩耗が少なく、長寿命であることが大きなメリットです。また、フェード現象も発生しにくいため、特に長時間のブレーキが必要となる下り坂道などで、高い制動力を安定して発揮することができます。

電磁式リターダーのメリット

電磁式リターダーのメリット

電磁式リターダーは、従来の摩擦ブレーキに比べて多くのメリットを提供します。まず、摩耗する部品がないため、メンテナンスの手間が大幅に軽減されます。これは、長期間にわたる使用でも安定した制動力を発揮できることを意味し、特に大型車や頻繁にブレーキを使用する車両にとって大きなメリットとなります。また、摩擦ブレーキのように熱によるフェードが発生しにくいのも利点です。急な下り坂や高負荷の運搬時でも、安定した制動力を維持できるため、安全性に大きく貢献します。さらに、電磁式リターダーはエネルギー回生システムとの相性が良く、エネルギー効率の向上にも寄与します。これらのメリットから、電磁式リターダーは、これからの自動車業界において、より重要な役割を担っていくことが期待されています。

主な用途と採用事例

主な用途と採用事例

電磁式リターダーは、その優れた制動力と制御性から、様々な分野で活躍しています。特に、大型車両や鉄道車両において、ブレーキの負担を軽減し、安全性を向上させるために広く採用されています。

例えば、急勾配や長距離の下り坂が多い山岳地帯を走行する大型トラックやバスでは、電磁式リターダーは必須の装備となっています。フットブレーキだけに頼ると、ベーパーロック現象による制動力の低下やブレーキフェードの発生による事故のリスクが高まります。電磁式リターダーを併用することで、これらのリスクを大幅に低減することができます。

また、鉄道車両においても、高速走行時の制動や、駅間が短く頻繁な加減速が必要な都市部の路線において、電磁式リターダーは効果を発揮します。エネルギー効率の向上にも貢献し、省エネルギー化が求められる現代の鉄道システムにおいても重要な役割を担っています。

今後の展望

今後の展望

電磁式リターダーは、エネルギー効率の高さや環境性能の良さから、今後ますます需要が高まると予想されます。特に、電気自動車やハイブリッド車など、電動化が進む自動車業界においては、回生ブレーキとの組み合わせによるさらなる省エネ化が期待されています。また、自動運転技術の発展に伴い、より精密な速度制御が求められるようになり、その点でも電磁式リターダーの滑らかで応答性の高い制動力は大きな強みとなるでしょう。さらに、従来の摩擦式ブレーキに比べて摩耗が少ないというメリットを活かし、大型トラックやバスなどの商用車だけでなく、鉄道車両や建設機械など、より幅広い分野への応用も期待されています。このように、電磁式リターダーは、未来のモビリティ社会を支える重要な技術として、更なる進化と普及が期待されています。

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