アブレイダブルシール: 高効率ターボの秘密兵器

車を知りたい
先生、「アブレイダブルシール」って、普通のシールと何が違うんですか?

自動車研究家
良い質問だね!普通のシールは、すり減らないように硬い素材でできていることが多いよね。でも、「アブレイダブルシール」は、あえて削れる柔らかい樹脂でできているんだ。

車を知りたい
削れるのに、なんでシールとして使えるんですか?

自動車研究家
実は、削れることで、ターボチャージャーの羽根車とケースの隙間を最適な状態に保つことができるんだ。羽根車の回転でシールが削れて、自動的にちょうど良い隙間になるんだよ。
アブレイダブルシールとは。
「アブレイダブルシール」とは、自動車のターボチャージャーに使われる部品の名称です。樹脂製のシールで、コンプレッサーの羽根(コンプレッサーブレード)とケースの間に設置され、羽根が回転するときに削られるように設計されています。この仕組みによって、部品ごとに生じるわずかな隙間(クリアランス)の差をなくし、常に最適な状態を保つことができます。その結果、コンプレッサーの効率が向上し、より高い性能を引き出すことが可能になります。マツダRX-7には、1999年1月から採用されています。
アブレイダブルシールとは?

アブレイダブルシールとは、航空機エンジンやガスタービンなどの高速回転機械において、回転体と固定体の間をシールするために用いられる特殊なシール材です。高温・高圧の過酷な環境下でも、優れたシール性と耐久性を発揮し、タービン効率の向上に大きく貢献しています。
RX-7の進化とアブレイダブルシールの登場

Rotary Engine(ロータリーエンジン)を搭載した名車として知られるRX-7。その進化の歴史において、ターボチャージャーの性能向上は重要な要素でした。特に2代目RX-7(FC3S型)から導入されたシーケンシャルツインターボは、革新的な技術として注目を集めました。
このシーケンシャルツインターボの性能を最大限に引き出すために、重要な役割を果たしたのがアブレイダブルシールです。アブレイダブルシールは、タービンホイールとハウジングの隙間を極限まで小さくすることで、ターボチャージャーの効率を飛躍的に向上させます。従来のシール材では、高温・高速回転するタービンホイールとの接触に耐えられず、大きなクリアランスが必要でした。しかし、アブレイダブルシールは、接触時にわずかに摩耗することでタービンホイールとの隙間を最適に保ち、高いシール性能と耐久性を両立させることを可能にしたのです。
最適クリアランスの実現による高効率化

ターボ機械の効率向上には、回転体と静止部の間隙(クリアランス)を最小限に抑えることが重要です。しかし、過度にクリアランスを小さくすると、接触による摩耗や破損のリスクが高まります。
アブレイダブルシールは、この課題を解決する画期的な技術です。 シール材に特殊な軟金属を採用することで、回転時に接触が発生しても、微量な摩耗によって最適なクリアランスを自動的に形成します。これにより、接触によるリスクを抑制しつつ、最小限のクリアランスを維持することが可能となり、ターボ機械の効率向上に大きく貢献します。
アブレイダブルシールのメリット・デメリット

アブレイダブルシールは、ターボ機械の効率向上に大きく貢献する技術です。しかし、どんな技術にもメリット・デメリットが存在します。アブレイダブルシールを採用する際には、メリットだけでなくデメリットも理解した上で、適切な判断をすることが重要となります。
まずメリットとして、従来の非接触シール方式と比較して、隙間を小さくできる点が挙げられます。これにより、漏れによるエネルギー損失を大幅に削減し、ターボ機械の効率向上を実現します。また、接触による摩耗が発生するため自己修復性を持ち、長期間にわたって安定した性能を発揮します。
一方、デメリットとしては、摩耗によって発生する摩耗粉への対策が必要となる点が挙げられます。摩耗粉がシステム内に滞留すると、性能低下や故障の原因となる可能性があります。また、適用条件が限られるという側面も持ち合わせています。高温・高圧環境や腐食性のある環境下では、材料の選定や設計に工夫が必要となる場合があり、適用範囲が限定されることがあります。
今後の展望: より高性能なターボチャージャーに向けて

アブレイダブルシールの技術革新は、ターボチャージャーのさらなる高性能化を後押ししていくでしょう。より過酷な環境下でも安定して機能する耐熱性や耐摩耗性に優れた素材の開発が期待されます。また、AIやIoT技術を活用した、リアルタイムでのシール状態のモニタリングや制御システムの導入により、従来以上に精密なシールクリアランスの制御が可能となり、更なる効率向上と信頼性の向上が見込まれます。これらの技術革新は、燃費向上や環境負荷低減といった時代の要請に応えながら、自動車産業の発展に大きく貢献していくと考えられています。
