可動プレート式エアフローメーター:仕組みと歴史
車を知りたい
先生、「可動プレート式エアフローメーター」って、どんな仕組みなんですか?
自動車研究家
いい質問だね!簡単に言うと、空気の流れの中に板があって、空気の量によって板が動くんだよ。その動き方を測ることで、エンジンに吸入される空気の量を計測しているんだ。
車を知りたい
なるほど。でも、今はあまり使われていないんですよね?
自動車研究家
そうなんだ。昔はよく使われていたんだけど、車の振動で誤作動を起こしたり、壊れやすかったりという欠点があったんだ。それで、今はもっと正確で壊れにくい「熱線式エアフローメーター」が主流になっているんだよ。
可動プレート式エアフローメーターとは。
「可動プレート式エアフローメーター」とは、車のエンジンに吸い込まれる空気の量を測るセンサーの一種です。空気の通り道にプレートが設置されていて、空気の量によってプレートが回転する仕組みになっています。プレートの回転角度を測定することで、空気流量を検出します。電子制御式燃料噴射装置が普及し始めた頃は、吸気圧力を測定する方式が主流でしたが、排ガス規制の強化に伴い、可動プレート式エアフローメーターも一時的に使われました。しかし、車の振動による誤作動や耐久性の問題から、現在では熱線式エアフローメーターが主流となっています。
可動プレート式エアフローメーターとは?
可動プレート式エアフローメーターは、気体の流量を測定する装置です。その名の通り、流体の流れによって可動するプレートを用いることで、流量を計測します。このシンプルな構造ながら、高い精度と信頼性を持ち合わせており、様々な分野で活躍しています。
動作原理:空気の流れを回転に変換
可動プレート式エアフローメーターは、空気の流れを回転運動に変換することで流量を測定するというシンプルな原理に基づいています。まず、流路内に設置されたプレートに空気が当たると、プレートは空気の運動エネルギーを受けて回転を始めます。この時、回転軸にはバネが接続されており、空気の流れが強くなるほどプレートは大きく回転します。そして、プレートの回転角度をセンサーで読み取ることで、空気流量を計測することができるのです。
電子制御燃料噴射装置黎明期の活躍
電子制御燃料噴射装置、通称EFIが自動車の世界に登場したのは1960年代のことです。その黎明期において、空気量を正確に測定することが技術的な課題となっていました。その中で、シンプルながらも信頼性の高い測定方法として登場したのが、可動プレート式エアフローメーターです。
可動プレート式エアフローメーターは、吸入空気量に応じて内部のプレートが動くことで、空気量を機械的に検出します。この動きは、電気信号に変換され、エンジンコントロールユニット(ECU)に伝達されます。ECUは、この情報に基づいて燃料噴射量を調整し、最適な燃焼を実現していました。
当時の技術水準では、複雑な電子制御システムはまだ発展途上であり、シンプルで堅牢な可動プレート式エアフローメーターは、電子制御燃料噴射装置の普及に大きく貢献したと言えます。
EGR導入による普及と課題
EGR(排ガス再循環)システムは、排気ガスの一部を吸気系に再循環させることで、窒素酸化物(NOx)の排出量を抑制する技術です。このEGRの導入により、従来のエアフローメーターでは正確な吸入空気量を測定することが難しくなりました。なぜなら、EGRによって吸気中には排気ガスが混入するため、空気だけの量を正確に測ることが困難になるからです。
そこで、可動プレート式エアフローメーターが注目を集めるようになりました。この方式は、プレートの変位量から吸入空気量を測定するため、排気ガスの混入に影響されにくいという特徴があります。そのため、EGRシステムとの相性が良く、多くの自動車メーカーに採用されるようになりました。
しかし、可動プレート式エアフローメーターにも課題は存在します。例えば、プレートの摩耗や汚れによって測定精度が低下する可能性があります。また、構造が複雑なため、他の方式と比べて高価になりやすいという側面も持ち合わせています。
熱線式エアフローメーターへの移行
長い間、自動車のエンジンの吸入空気量を計測するために可動プレート式エアフローメーターが広く使われてきました。しかし、技術の進歩とともに、より精度が高く、応答性に優れたエアフローメーターの需要が高まりました。その需要に応える形で登場したのが、熱線式エアフローメーターです。
熱線式エアフローメーターは、センサ内部に配置された加熱された熱線に流れる空気の量によって冷却される原理を利用し、吸入空気量を計測します。可動プレート式と比較して、機械的な可動部分を持たないため、耐久性と応答性に優れているという特徴があります。また、小型軽量であることから、エンジンルーム内のスペース効率の向上にも貢献しました。
これらの利点により、熱線式エアフローメーターは、多くの自動車メーカーに採用され、可動プレート式エアフローメーターからの移行が進みました。現在では、多くの新型車に熱線式エアフローメーターが標準装備されています。