燃費向上を支える『直結クラッチ』の仕組み
車を知りたい
先生、「直結クラッチ」って、AT車にあるクラッチのことですよね? なんでAT車なのにクラッチがあるんですか?
自動車研究家
いい質問ですね! AT車にもクラッチは必要なんですよ。ただし、MT車のようにギアチェンジのために使うのではありません。AT車のクラッチは、燃費を向上させるために使われることが多いんです。
車を知りたい
燃費向上ですか? どうしてクラッチがあると燃費が良くなるんですか?
自動車研究家
トルクコンバーターという装置は、流体を使って動力を伝達するため、どうしてもエネルギーのロスが発生してしまうんです。そこで、直結クラッチを使ってエンジンと変速機を直結することで、ロスを減らして燃費を向上させているんですよ。
直結クラッチとは。
「直結クラッチ」とは、オートマチック車(AT車)に使われる部品の一つで、エンジンの力を伝えるトルクコンバーターの入力軸を、機械的に繋いで一体的に回転させるためのクラッチです。
このクラッチは、クラッチプレートの役割も持つピストンが、油圧によってフロントカバーに押し付けられることで作動します。
また、クラッチが作動する際に発生するねじり振動を吸収するために、クラッチディスクにはトーションダンパー機構が備わっています。
AT車に搭載される『直結クラッチ』とは?
近年、自動車の燃費向上技術として注目を集めているのが『直結クラッチ』です。従来のAT車では、エンジンと変速機の間にトルクコンバーターと呼ばれる装置が介在し、滑りによる動力の伝達ロスが発生していました。しかし、直結クラッチを搭載することで、エンジンと変速機を機械的に直結することが可能になります。これにより、トルクコンバーターの滑りによるエネルギーロスを抑制し、燃費向上を実現できるのです。
トルクコンバーターとの関係性
自動車の燃費向上技術として近年注目されているのが『直結クラッチ』です。これは、従来のトルクコンバーターに取って代わるものではなく、むしろトルクコンバーターと組み合わせて使用されることで、より効果を発揮します。
トルクコンバーターは、エンジンの動力を滑らかにトランスミッションに伝える役割を担い、発進時や低速走行時のスムーズな加速を可能にする重要な機構です。しかし、トルクコンバーターは流体を使って動力を伝達するため、どうしても伝達効率が低下してしまうという側面も持ち合わせています。
そこで登場したのが直結クラッチです。直結クラッチは、エンジンの回転数を一定以上にした場合に、トルクコンバーターを介さずにエンジンとトランスミッションを直接接続する機構です。これにより、トルクコンバーターによる伝達ロスを抑制し、燃費向上を実現しています。
つまり、直結クラッチとトルクコンバーターは、それぞれの特性を生かして効率的な動力伝達とスムーズな走行を両立させる、いわば二人三脚のような関係にあると言えるでしょう。
直結クラッチの構造と作動原理
直結クラッチは、エンジンとトランスミッションの間で動力の接続と遮断を行う重要な部品です。
従来のトルクコンバーター式ATと異なり、直結クラッチは文字通りエンジンとトランスミッションを直接接続することで、動力の伝達ロスを最小限に抑えます。
構造としては、油圧で制御される複数の摩擦板が重要な役割を果たします。エンジンからの動力は、まずこれらの摩擦板に伝わり、油圧によって圧着されることでトランスミッションへと伝達されます。
発進時や低速走行時など、エンジン回転数と車速が大きく異なる場合には、摩擦板を滑らすことで滑らかな変速を実現します。
一方、高速走行時など、エンジン回転数と車速が安定している場合には、摩擦板を完全に圧着させることで、エンジンとトランスミッションを直結状態にします。この直結状態では、トルクコンバーターのような流体による伝達ロスがなくなるため、燃費向上に大きく貢献します。
燃費向上に貢献する理由
直結クラッチが燃費向上に貢献する理由は、エンジンの動力を無駄なくトランスミッションに伝えることができる点にあります。従来のトルクコンバーター式ATでは、流体を使って動力を伝達するため、どうしても伝達ロスが発生していました。しかし、直結クラッチはクラッチを機械的に接続することで、エンジンの動力をよりダイレクトにトランスミッションに伝えることが可能になります。 これにより、伝達ロスが減少し、燃費の向上に繋がるのです。
今後の進化と展望
直結クラッチは、既に燃費向上に大きく貢献していますが、その進化はこれからも止まりません。 例えば、素材の進化によって、より軽量かつ耐久性の高い直結クラッチが開発される可能性があります。 これにより、燃費はさらに向上し、エンジンの小型化にも貢献することが期待されます。
また、 制御技術の進化も、直結クラッチの可能性を広げます。 AIなどを活用することで、より緻密な制御が可能となり、ドライバーが意識することなく、常に最適なタイミングでエンジンとモーターの切り替えが行われるようになるでしょう。
直結クラッチは、自動車の燃費向上において、今後ますます重要な役割を担っていくと考えられます。