車の排気音:その仕組みと静穏化への挑戦
車を知りたい
先生、この文章に出てくる『排気テール音』と『排気管放射音』の違いがよくわからないです。
自動車研究家
なるほど。『排気テール音』は、車の後ろにあるテールパイプから聞こえる音のことだよ。一方、『排気管放射音』は、テールパイプに繋がっている排気管自体から出る音なんだ。
車を知りたい
そうなんですね。じゃあ、音の発生源が違うってことですか?
自動車研究家
その通り!『排気テール音』は、エンジンからの排気ガスがテールパイプから出る時に発生する音。 『排気管放射音』は、排気ガスの振動が排気管に伝わって、排気管自体が振動して出る音なんだよ。
排気騒音とは。
「排気騒音」とは、車が走行する際に、排気系から発生する騒音のことです。エンジン内部で発生した音は、排気ガスとともに高温の状態で排出され、これが排気騒音の原音となります。
排気ガスは、処理装置や消音器を通過し、最終的にテールパイプから外部へ放出されます。この過程で発生する騒音は、テールパイプから聞こえる「排気テール音」と、パイプや消音器の壁面から放射される「排気管放射音」の二つに分けられます。
「排気テール音」は、排気ガスの脈動やパイプ内部での共鳴によって生じる低周波音や、消音しきれなかった高周波音、気流音などから構成されます。「排気管放射音」は、エンジンの排気口から発生する衝撃波などによって、パイプの壁面が振動することで発生する中・高周波音です。
これらの騒音は、エンジンが高負荷で稼働する際に大きくなる傾向があります。排気系の劣化や改造によって騒音が大きくなり、公害につながることを防ぐため、騒音レベルに関する規制が設けられています。
排気騒音の発生源:エンジンからテールパイプまで
車が走行する上で必ず発生する排気音。私たちにとって身近な音である一方、時に騒音として認識されることもあります。 排気音は、エンジン内部で爆発的に燃焼したガスが、マフラーに至るまでの経路で様々な振動を伴って排出される際に発生します。
まず、エンジンの燃焼室では、ガソリンと空気の混合気が爆発的に燃焼します。この時、ピストンを動かすほどの大きなエネルギーが生まれますが、同時に大きな音と振動も発生します。これが排気音の最初の発生源です。
次に、燃焼ガスは排気マニホールドを通過します。高温・高圧のガスが複雑な形状の経路を通る際に、さらに大きな乱流と振動が発生し、排気音は増幅されます。
その後、排気ガスは触媒コンバーターを通過します。ここでは、有害物質を浄化する過程で、排気ガスの流れが変化し、新たな音や振動が発生します。
最後に、排気ガスはマフラーを通過します。マフラーは、複数の部屋とパイプを組み合わせることで、排気ガスの圧力と流れを調整し、音を低減する役割を担っています。
このように、排気音はエンジンからテールパイプに至るまで、様々な箇所で発生する音と振動が複合的に組み合わさって生まれています。静かで快適な車社会を実現するために、それぞれの発生源に対して様々な技術開発が進められています。
排気テール音:脈動音、共鳴音、そして高周波成分
車が奏でる排気音。特にリアから響くテール音は、エンジンの鼓動や車の個性を感じさせる要素として、多くの自動車ファンを魅了しています。しかし、このテール音は、ただ単にマフラーから排出されるガス音ではありません。そこには、脈動音、共鳴音、高周波成分といった様々な要素が複雑に絡み合い、独特の音色を生み出しているのです。
まず、エンジンの爆発によって断続的に排出されるガスが、空気を振動させて発生する音が脈動音です。これは、エンジンの気筒数や回転数によって変化し、低音で力強い音色が特徴です。次に、マフラー内部の構造や材質によって特定の周波数が増幅されることで生まれるのが共鳴音です。マフラーの設計次第で、音の高さや響きを調整することが可能となります。そして、これらの音に金属振動などによって発生する高周波成分が加わることで、より複雑で奥行きのある音色が作り出されるのです。
このように、排気テール音は様々な要素が織りなす、いわば車のシンフォニーとも言えます。静穏化が求められる一方で、心地よい音作りも重要な要素となるため、自動車メーカーは日々、その両立に頭を悩ませているのです。
排気管放射音:衝撃波が引き起こす騒音
エンジンから排出されるガスは、高温高圧の状態です。このガスが排気管を通って外部に放出される際、周囲の空気との圧力差によって衝撃波が発生します。この衝撃波が空気中を伝播することで音が発生し、これが排気管放射音の主たる発生源となります。
排気管放射音は、特にエンジンの回転数が上がると顕著になります。これは、回転数の上昇に伴い排出ガスの速度と圧力が増加し、より強い衝撃波が発生するためです。この音が、スポーティーな車種などでは迫力あるサウンドとして楽しまれる一方、住宅街などでは騒音として問題になることもあります。
排気騒音規制:環境保護と近接騒音対策
自動車の排気音は、エンジン内部で発生する爆発音や排気ガスの流れによって生じます。特に、未処理の排気ガスは大気汚染の原因となるだけでなく、その騒音は周辺環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで、自動車メーカーは排気ガス規制と同時に、騒音規制にも積極的に取り組んでいます。日本では、道路運送車両法に基づき、自動車の排気音の大きさ(音量)が厳しく規制されています。この規制は、走行中の自動車から発生する騒音を抑制することで、周囲の生活環境を保護することを目的としています。
さらに、近年では、近接騒音と呼ばれる、加速時や減速時に発生する大きな排気音についても規制が強化されています。これは、住宅街などの静かな環境での騒音を抑制し、住民の生活の質を守るための対策です。
排気騒音規制は、自動車メーカーにとって大きな課題ですが、同時に環境保護と社会との調和を図る上で重要な責任でもあります。技術革新を通じて、より静かで環境に優しい自動車の開発が期待されています。
静穏化技術:より静かな自動車社会を目指して
自動車の静穏化は、快適なドライブ体験を提供するだけでなく、環境負荷の低減にも大きく貢献します。ここでは、自動車、特にエンジンから発生する騒音を抑制するための様々な技術について解説していきます。
排気音は、エンジン内部で爆発的に燃焼したガスが、高温・高圧のまま排出される際に発生することから、その抑制には、まず排気システム内の圧力を調整することが重要となります。そのために用いられるのがマフラーです。マフラー内部には、複数の部屋とパイプが複雑に配置されており、音の波を干渉させて打ち消したり、音を吸収する素材によって、効果的に排気音を低減します。
近年では、環境規制の強化に伴い、従来のマフラーに加えて、電子制御技術を活用した静穏化技術も開発されています。その一つが、アクティブノイズコントロールと呼ばれる技術です。これは、車内に設置されたマイクで周囲の騒音を検知し、それと逆位相の音をスピーカーから発生させることで、騒音を打ち消すという画期的な技術です。
このように、自動車の静穏化技術は、日夜進化を続けています。静かで快適な車社会の実現は、環境問題への意識の高まりとともに、ますます重要な課題となっていくでしょう。