トンネルを照らす光の進化 ナトリウムランプからHf蛍光灯へ
車を知りたい
先生、トンネルの照明に使われているナトリウムランプについて教えてください。種類があるみたいですが、違いは何ですか？
自動車研究家
良い質問だね！ナトリウムランプには、低圧ナトリウムランプと高圧ナトリウムランプの2種類があるんだ。低圧ナトリウムランプはオレンジ色の光、高圧ナトリウムランプは白色の光を放つのが特徴だよ。
車を知りたい
じゃあ、トンネルによって色が違うのはナトリウムランプの種類が違うからなんですね！でも、なんで種類が違うランプが使われているんですか？
自動車研究家
その通り！昔はオレンジ色の低圧ナトリウムランプが使われていたけど、視認性や寿命の面で優れている高圧ナトリウムランプが開発されてから、だんだん置き換わっているんだ。最近では、さらに視環境が良いHf蛍光灯が使われ始めているんだよ。
ナトリウムランプとは。
自動車用語の「ナトリウムランプ」とは、トンネル内で排気ガスが光を遮ってしまうのを防ぐために、透過性の高いオレンジ色の光を出すランプのことです。1996年以降に開通したトンネルでは、従来のオレンジ色の低圧ナトリウムランプから、より自然な白色に発光する高圧ナトリウムランプが使われるようになりました。この高圧ナトリウムランプは寿命も従来より30％以上長く、1万2000時間ももちます。さらに、1998年に完成した東名高速道路の日本坂トンネルでは、Hf（高周波）蛍光灯という新しいタイプのランプが採用されました。このHf蛍光灯は、視環境や走行環境の向上に非常に優れているため、今後建設されるトンネルの照明は、このHf蛍光灯が主流になっていくと考えられます。
トンネル照明の重要性
トンネルは、昼間でも薄暗く感じる特殊な環境です。そのため、ドライバーが安全かつ快適に走行するためには、適切な照明が欠かせません。トンネル照明は、ドライバーの視界を確保し、事故やトラブルを未然に防ぐとともに、閉鎖的な空間であるトンネル内の圧迫感を軽減する役割も担っています。
ナトリウムランプの登場と課題
かつて、トンネル内は薄暗く、どこか不安を感じる場所でした。しかし、ナトリウムランプの登場で状況は一変します。その強烈なオレンジ色の光は、高い視認性を発揮し、ドライバーに安心感を与えるとともに、トンネル内照明のスタンダードとしての地位を築きました。しかし、時が経つにつれ、その独特の色合いが課題として浮上します。ナトリウムランプの光は、自然光とはかけ離れており、色彩を正確に識別することが困難でした。これは、事故発生時の状況把握や、監視カメラの映像確認において、大きな支障となる可能性を孕んでいました。
高圧ナトリウムランプによる進化
初期のトンネル照明は、白熱灯や蛍光灯が使われていましたが、暗くて見通しが悪く、安全面で課題がありました。そこで登場したのが、高圧ナトリウムランプです。高圧ナトリウムランプは、従来の光源と比べてはるかに明るく、寿命も長いという特徴を持っていました。このため、トンネル内を明るく照らし、ドライバーの視認性を高めることで、安全性の向上に大きく貢献しました。また、長寿命であることから、ランプ交換の頻度を減らすことができ、メンテナンスコストの削減にも繋がりました。高圧ナトリウムランプの登場は、トンネル照明における大きな進化と言えるでしょう。
Hf蛍光灯：新たな時代のトンネル照明
これまでトンネル照明の定番といえば、オレンジ色の光が特徴的なナトリウムランプでした。しかし、近年では省エネ性能と視認性の高さから、Hf蛍光灯がその座を奪いつつあります。
Hf蛍光灯は、従来の蛍光灯に比べて約1.5倍の明るさを実現しながらも、消費電力を抑えられるという大きなメリットがあります。これは、蛍光灯内部に封入された水銀の代わりに、希土類元素であるハフニウムを使用することで、発光効率が大幅に向上したためです。
また、Hf蛍光灯は、ナトリウムランプよりも演色性が高く、自然光に近い光を再現できるという点も大きな魅力です。演色性とは、色の見え方を示す指標であり、数値が高いほど自然光に近く、色が鮮やかに見えます。このため、Hf蛍光灯で照らされたトンネル内では、ドライバーは標識や路面の状況をより正確に把握することができ、安全性の向上に繋がります。
さらに、Hf蛍光灯は、ランプの長寿命化も実現しています。これは、ランプの電極部に新たな材料を採用することで、電極の劣化を抑制できるようになったためです。長寿命化によってランプ交換の頻度を減らせるため、メンテナンスコストの削減にも貢献します。
このように、Hf蛍光灯は、省エネ性、視認性、長寿命化といった多くのメリットを兼ね備えた、まさに次世代のトンネル照明と言えるでしょう。
未来のトンネル照明に向けて
近年、道路トンネル内の照明に変化が起きています。かつてはオレンジ色の光でトンネル内を照らしていたナトリウムランプから、より明るく寿命の長いHf蛍光灯への切り替えが進んでいるのです。Hf蛍光灯は、従来の蛍光灯と比べて消費電力が少なく、環境にも優しいという特徴があります。また、演色性にも優れているため、トンネル内の視認性を向上させ、安全性の向上にも寄与しています。
Hf蛍光灯への転換は、トンネル照明の大きな進歩と言えるでしょう。しかし、技術革新は常に続いています。今後は、LED照明や太陽光利用など、さらなる省エネと環境負荷低減を実現する新たな技術の導入が期待されています。また、自動運転技術の発展に伴い、車両とトンネル照明が連動した、より高度な照明システムの構築も視野に入ってきています。
トンネル照明は、私たちの安全で快適な移動を支える重要なインフラです。未来のトンネル照明は、さらなる安全性と環境性能を追求し、私たちの暮らしをより豊かに彩っていくことでしょう。