クルマの限界回転数:知られざる許容最高回転数の秘密
車を知りたい
先生、「許容最高回転数」って、エンジンの回転数の限界ってことですよね?
自動車研究家
そうだね。エンジンが壊れないように決められた回転数の限界値のことだよ。 ただ、最大出力が出せる回転数とは少し違うんだ。
車を知りたい
え、そうなんですか? どう違うんですか?
自動車研究家
例えば、車が発進する時みたいに大きな力が必要な時は、最大出力回転数より低い回転数で走る方が効率がいいんだ。 許容最高回転数は、あくまでエンジンが壊れないための限界値と考えてね。
許容最高回転数とは。
「許容最高回転数」とは、自動車のエンジンを壊さずに回せる最高回転数のことを指します。これは一般的に、エンジンが最も大きな力を発揮する回転数(最大出力発生回転数)よりも高く設定されています。どれくらい高く設定するかは、エンジンの種類によって異なり、SOHCエンジンの場合は最大出力発生回転数の10%増、DOHCエンジンの場合は15%増といったように、エンジンの設計や使用範囲によって決められています。
大型ディーゼルエンジンの場合、減速時にエンジン回転数が上がりすぎるオーバーラン現象が起こりやすいため、例えば最大出力が2200rpmで発生する場合、許容最高回転数は2400rpm程度に設定されます。
許容最高回転数を決める要素は、SOHCやDOHCエンジンでは主にバルブ機構の耐久性、大型ディーゼルエンジンではピストンの動きに関わる慣性力が関係しています。さらに、ターボチャージャーを搭載したエンジンでは、ターボチャージャーの羽根にかかる遠心力によって壊れない回転数が許容最高回転数の上限となります。ターボチャージャーは非常に高速で回転し、その回転数は15万rpmにも達することがあります。
許容最高回転数とは?
クルマのエンジンは、実はタコメーターのレッドゾーンまで回せるように設計されているわけではありません。 レッドゾーンの手前に、エンジンの設計上、安全に回せる回転数の限界を示す「許容最高回転数」が存在します。 この許容最高回転数は、各部品の強度や耐久性、潤滑などの様々な要素を考慮して、メーカーが厳密に設定しています。 つまり、許容最高回転数とは、エンジンが安全に動作できる回転数の限界を示す重要な指標なのです。
エンジン構造の違いによる許容回転数の差
クルマの心臓部であるエンジン。その回転数は、エンジンの構造によって大きく異なる許容範囲を持っています。ピストン運動を回転運動に変換するクランクシャフト、それを支えるベアリング、そしてピストンやコンロッドなど、これらの部品の強度や重量、設計が、許容回転数に影響を与えるのです。
例えば、高回転型エンジンとして知られるスポーツカーなどに搭載されるエンジンは、軽量で高強度の素材を用い、各部品の精度を高めることで、高い回転数に耐えられるように設計されています。一方、トラックなどに使われるディーゼルエンジンは、出力重視の設計思想から、頑丈で重い部品が使われているため、ガソリンエンジンに比べて許容回転数は低くなります。
このように、同じエンジンといえども、その構造によって許容回転数は大きく異なるのです。 この違いは、それぞれのクルマに求められる性能や用途によって最適化されていると言えるでしょう。
ディーゼルエンジンにおける許容回転数の設定理由
ガソリンエンジンと比べて、ディーゼルエンジンは低い回転数で最大トルクを発生するのが特徴です。これはディーゼルエンジン特有の燃焼方式や構造に起因します。ディーゼルエンジンは自己着火方式を採用しており、ガソリンエンジンよりも圧縮比が高く設定されています。このため、ピストンが上死点に達する時の圧力が非常に高くなり、結果として低い回転数でも大きな力を生み出すことができるのです。
しかし、その反面で高回転化が難しいという側面も持ち合わせています。高回転になると、燃焼時間が短くなるため、十分な空気をシリンダー内に送り込めず、不完全燃焼を起こしやすくなるためです。また、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて、部品が頑丈で重量があるため、高回転化するとエンジンへの負担が大きくなり、耐久性が低下する原因にもなります。
これらの要素を考慮し、ディーゼルエンジンは出力と耐久性のバランスが取れた回転数に設定されています。そのため、ガソリンエンジンに比べて許容回転数は低く設定されているのです。
ターボチャージャーの回転限界
エンジンが高回転を奏でるスポーツカーにとって、ターボチャージャーはまさに心臓部と言えるでしょう。しかし、このターボチャージャーにも回転数の限界が存在します。ターボチャージャーは、排気ガスを利用してタービンを回転させ、その力で圧縮機を駆動して空気をエンジンに送り込むシステムです。回転数が上がれば上がるほど、より多くの空気を送り込めるため、高出力化に貢献します。しかし、タービンの回転数が限界を超えてしまうと、軸受の耐久性が損なわれたり、最悪の場合タービンブレードが破損してしまう可能性があります。このような事態を防ぐため、ターボチャージャーには安全装置が備わっており、回転数が限界に達すると、ウェイストゲートと呼ばれるバルブが開いて排気ガスをバイパスさせ、回転数を抑制する仕組みになっています。ターボチャージャーの限界回転数は、その設計や材質、大きさなどによって異なり、一般的なガソリンエンジン車では15万~20万回転/分程度と言われています。高回転化による出力向上と引き換えに、耐久性とのバランスをどのように取るかが、メーカーの技術力の見せ所と言えるでしょう。
許容最高回転数とエンジンの寿命
「このクルマ、レッドゾーンまで回したら壊れるんじゃないか…?」そんな風に思ったことはありませんか?確かに、エンジンは高回転になればなるほど、その部品にかかる負担は大きくなります。しかし、だからといって、メーカーが設定したレッドゾーンまで回してはいけない、ということではありません。
重要なのは「許容最高回転数」という概念です。これは、エンジンが瞬間的にでも耐えられる最高回転数のことであり、レッドゾーンはこの数値よりも低い位置に設定されています。つまり、レッドゾーンまでなら、エンジンに過度な負担をかけることなく、安心して高回転域のパワーを楽しむことができるのです。
しかし、だからといって、常にレッドゾーンギリギリまでエンジンを回すことが良いわけではありません。許容最高回転数以内であっても、高回転を多用すれば、当然ながらエンジン各部の摩耗は早まります。 エンジンの寿命を長く保ちたいのであれば、高回転域はここぞという時にととっておき、普段は低回転域でスムーズに運転することが大切です。