バイザッハアクスル

駆動系に関する用語

ポルシェ928の走りを実現する「バイザッハアクスル」

ポルシェ911のフロントエンジン・リアドライブモデルとして1977年にデビューした928。その卓越した走行性能を支える技術の一つが、リアサスペンションに採用された「バイザッハアクスル」です。これは、一般的な独立懸架システムとは異なり、コーナリング時に発生するトーアウトを抑制することで、優れた安定性とトラクションを実現する革新的なメカニズムです。 従来の後輪独立懸架システムでは、コーナリング時に車体が傾くと、外側のタイヤはトーアウト、内側のタイヤはトーインする傾向にありました。しかし、バイザッハアクスルは、特殊なジオメトリーとリンク機構を採用することで、外側のタイヤをトーイン方向にわずかに動かし、安定したグリップ力を確保します。これにより、928は高速コーナリングでも安定した姿勢を保ち、ドライバーに安心感と高いコントロール性をもたらします。 バイザッハアクスルは、その後のポルシェ車にも採用され、高い評価を得た技術です。このシステムは、928の優れた走行性能に大きく貢献し、スポーティさと快適性を両立したグランツーリスモとしての地位を確立する上で重要な役割を果たしました。