自動車排ガス浄化の主役: 三元触媒とは？
車を知りたい
先生、「三元触媒」って、自動車の排気ガスをきれいにしてくれるものですよね？具体的にどんな仕組みで浄化しているのか、教えてください。
自動車研究家
よく知ってるね！「三元触媒」は、排気ガスに含まれる有害な炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の三つを同時に浄化する装置のことだよ。この三つの物質を、それぞれ水と二酸化炭素、窒素に変換することで、排気ガスをクリーンにするんだ。
車を知りたい
三つの物質を浄化するんですね！すごい！でも、どうやって同時に浄化できるんですか？
自動車研究家
三元触媒には、白金やロジウムなどの貴金属が使われていて、これが触媒となって化学反応を促進させるんだ。例えば、窒素酸化物は触媒上で酸素を放出して無害な窒素になる。その酸素を使って、炭化水素や一酸化炭素が酸化されて水と二酸化炭素になるんだよ。このように、物質同士が影響し合って浄化が進むんだね。
三元触媒とは。
自動車用語の「三元触媒」は、車の排気系に取り付けられ、排ガスに含まれる炭化水素、一酸化炭素、窒素酸化物の3つを同時に浄化する装置です。 窒素酸化物が持つ酸素を炭化水素と一酸化炭素の酸化に利用することで、窒素酸化物を無害な窒素に還元します。この浄化を効率良く行うためには、燃料を完全に燃焼させるために必要な酸素量である「理論空燃比」で燃焼させる必要があります。初期の三元触媒には白金とロジウムが使われていましたが、現在では白金、パラジウム、ロジウムを主成分とし、さらに希土類などの助触媒を加えることで性能が向上しています。なお、燃費向上に効果的なリーンバーンエンジン専用に開発された触媒でも、窒素酸化物を還元する際には三元触媒の仕組みが利用されています。
排気ガス問題と三元触媒の役割
自動車の普及は私たちの生活を豊かにしましたが、同時に深刻な大気汚染を引き起こしました。特に、自動車の排気ガスに含まれる有害物質は、人の健康や環境に深刻な影響を与えることがわかっています。
そこで開発されたのが、三元触媒という画期的な浄化装置です。三元触媒は、自動車の排気システムに組み込まれ、排気ガスに含まれる有害物質を浄化する役割を担っています。その仕組みは、触媒の表面で化学反応を起こすことで、有害物質を無害な物質に変換することです。
三元触媒の登場により、自動車から排出される有害物質は大幅に削減され、大気環境の改善に大きく貢献してきました。今では、世界中の自動車に搭載されている、なくてはならない存在となっています。
三元触媒の仕組み: 排気ガスを浄化する化学反応
自動車の排気ガスに含まれる有害物質は、主に一酸化炭素（CO）、窒素酸化物（NOx）、炭化水素（HC）の3種類です。三元触媒は、その名の通りこれら3つの有害物質を同時に浄化する役割を担っています。
三元触媒の内部は、ハニカム構造と呼ばれる無数の小さな穴が空いた構造になっており、その表面には白金（Pt）、ロジウム（Rh）、パラジウム（Pd）といった貴金属がコーティングされています。
エンジンから排出された排気ガスが三元触媒を通過する際、これらの貴金属が触媒として働き、以下の化学反応を引き起こします。
1. 酸化反応
– 一酸化炭素（CO）は酸素（O2）と反応し、二酸化炭素（CO2）へと変化します。
– 炭化水素（HC）も酸素（O2）と反応し、二酸化炭素（CO2）と水（H2O）へと変化します。
2. 還元反応
– 窒素酸化物（NOx）は、一酸化炭素（CO）や炭化水素（HC）と反応し、窒素（N2）、二酸化炭素（CO2）、水（H2O）へと変化します。
これらの化学反応によって、有害な排気ガスは無害な物質へと変換され、大気汚染の抑制に貢献しています。
理論空燃比の重要性: 三元触媒の性能を最大限に発揮
自動車の排ガス浄化装置として広く知られる三元触媒。その性能を最大限に引き出すためには、理論空燃比という概念を理解することが重要となります。
理論空燃比とは、燃料を完全に燃焼させるために必要な、空気と燃料の理想的な比率のことです。ガソリンエンジンにおいては、重量比で約14.71とされています。この比率がずれると、排ガス中に含まれる有害物質の種類や量が変化し、三元触媒の浄化効率に大きな影響を及ぼします。
三元触媒は、その名の通り、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の三つの有害物質を浄化する能力を持っています。しかし、この浄化能力は、理論空燃比付近で最も高くなります。理論空燃比よりも燃料が濃すぎると還元雰囲気が強くなり、COやHCの浄化は促進されますが、NOxの浄化率は低下します。逆に、燃料が薄すぎると酸化雰囲気が強くなり、NOxの浄化は促進されますが、COやHCの浄化率は低下します。
そのため、自動車には、排気ガス中の酸素濃度を検測するセンサーと、その情報に基づいて燃料噴射量を調整するシステムが搭載されています。これにより、常に理論空燃比に近い状態を保ち、三元触媒の浄化能力を最大限に発揮させているのです。
三元触媒の構成: 貴金属と助触媒の働き
自動車の排気ガス浄化装置である三元触媒。その心臓部には、複雑な働きを担う貴金属と助触媒が存在します。まず、白金（Pt）、パラジウム（Pd）、ロジウム（Rh）といった貴金属は、触媒の主役として排気ガス中の有害成分を浄化します。具体的には、白金とパラジウムは酸化触媒として働き、一酸化炭素（CO）を二酸化炭素（CO2）に、未燃焼炭化水素（HC）を水（H2O）と二酸化炭素（CO2）に酸化します。一方、ロジウムは還元触媒として働き、窒素酸化物（NOx）を窒素（N2）と酸素（O2）に還元します。
これらの貴金属は単独でも機能しますが、より効率的かつ安定的に触媒を機能させるために、助触媒が重要な役割を果たします。助触媒には、セリア（Ce）、ジルコニア（Zr）、アルミナ（Al2O3）などが用いられます。これらの助触媒は、貴金属の分散性を高めたり、表面積を大きくしたりすることで、触媒活性を向上させます。また、高温での劣化を防ぎ、触媒の寿命を延ばす効果も期待できます。
このように、三元触媒は貴金属と助触媒の協調によって、排気ガス中の有害成分を浄化し、地球環境保護に大きく貢献しています。
進化する三元触媒: リーンバーンエンジンへの対応
従来のガソリンエンジンよりも燃費効率に優れたリーンバーンエンジン。その普及には、排ガス浄化システムの進化が欠かせません。リーンバーンエンジンは、希薄な混合気で燃焼するため、従来の三元触媒では十分に窒素酸化物を浄化できません。そこで開発されたのが、リーンバーンエンジンに対応した特殊な三元触媒です。従来型よりも貴金属の使用量を増やし、酸素貯蔵材の性能を向上させることで、希薄な排ガスでも高い浄化性能を発揮します。さらに、排気温度の制御や燃料噴射のタイミング調整など、エンジン側との協調制御も重要な要素となっています。これらの技術革新により、リーンバーンエンジンは環境性能と燃費性能を両立する、次世代の動力源として期待されています。