ガス自動車の基礎知識:メリット・デメリット、将来性
車を知りたい
先生、「ガス自動車」って、環境に良いって聞いたんですけど、あまり見かけないのはなぜですか?
自動車研究家
良い質問ですね!ガス自動車は、ガソリン車に比べて排出ガスが少ないので環境に優しい車です。ただ、普及にはいくつかの課題があるんです。
車を知りたい
課題ですか?例えば、どんなことですか?
自動車研究家
ガスを入れるためのスタンドが少ないことや、ガソリン車から改造するのに費用がかかることが挙げられます。でも、環境への負荷は低いので、これからの普及が期待されている自動車なんですよ。
ガス自動車とは。
「ガス自動車」とは、燃料に天然ガスを使用する自動車のことで、排出ガスが少なく環境に優しい乗り物として知られています。都市部でよく見かけるタクシーの多くはLPG(液化石油ガス)を、また、中型トラックの一部にはCNG(圧縮天然ガス)を使用する車種もあり、その種類は多岐に渡ります。特にCNG車は排出する汚染物質が少ないため、環境への意識が高い生活協同組合や自治体などで積極的に導入されています。しかし、ガスを供給できるスタンドが少ない点や、既存の車を改造するために1台あたり約100万円(4トントラックの場合)もの費用がかかる点が普及の妨げとなっています。天然ガスは日本では産出できませんが、世界的にはほぼ無限に存在すると言われています。環境負荷の低い車を求める声は高まっており、自治体による支援も期待できることから、今後ガス自動車が広く普及する可能性は十分にあります。
ガス自動車の種類と特徴
ガス自動車と一言で言っても、燃料となるガスにはいくつかの種類があります。それぞれの特徴と合わせて見ていきましょう。
まず挙げられるのは、LPG自動車です。Liquefied Petroleum Gasの略で、液化石油ガスとも呼ばれます。 比較的安価で、ガソリン車からの改造も可能な点が特徴です。タクシーや教習車など、走行距離が長い車に多く採用されています。
次に、CNG自動車があります。Compressed Natural Gasの略で、圧縮天然ガスを使用します。 LPGよりも環境性能に優れている点がメリットとして挙げられます。しかし、LPGに比べて車両価格が高額になりがちで、給油可能なスタンドが少ない点が課題と言えるでしょう。
最後に、水素を燃料とする燃料電池自動車があります。 水素と酸素の化学反応によって発電し、モーターを駆動させる仕組みです。走行時にCO2を排出しない究極のエコカーとして期待されていますが、車両価格の高さや水素ステーションの不足など、実用化に向けては課題も多いのが現状です。
環境性能と経済性:メリットとデメリット
– 環境性能と経済性メリットとデメリット
ガス自動車は、ガソリン車やディーゼル車と比べて環境性能や経済性に優れている点がメリットとして挙げられます。ここでは、具体的なメリットとデメリットを見ていきましょう。
-メリット-
* -CO2排出量の削減- ガス自動車は、ガソリン車やディーゼル車に比べてCO2排出量が少なく、地球温暖化対策に貢献できます。特に、天然ガス自動車はCO2排出量がガソリン車よりも約20%削減できるとされています。
* -排気ガスのクリーンさ- ガス燃料は燃焼時に有害物質の排出量が少なく、大気汚染の抑制に効果があります。窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)の排出量は、ガソリン車やディーゼル車よりも大幅に削減できます。
* -燃料費の安さ- ガソリンや軽油と比べて、ガス燃料は価格が安価であることが多く、燃料費を節約できます。
-デメリット-
* -車両価格の高さ- ガス自動車は、ガソリン車やディーゼル車と比べて車両価格が高額になる傾向があります。これは、ガス燃料を貯蔵するためのタンクや配管などの専用部品が必要となるためです。
* -給油所の少なさ- ガソリンスタンドに比べて、ガスを充填できるスタンドの数は限られています。そのため、ガス自動車を利用する際には、事前に給油所の場所を確認しておく必要があります。
普及に向けた課題:ガススタンド不足と改造費用
ガス自動車の普及には、ガススタンド不足という大きな壁が存在します。電気自動車の充電スタンドと比較しても、その数は圧倒的に少なく、長距離移動や地方へのドライブには不安がつきまといます。さらに、既存のガソリン車をガス自動車に改造するための費用も課題です。環境性能向上のためとはいえ、高額な改造費用は大きな負担となり、普及の妨げとなっています。
世界と日本の動向:天然ガス自動車の未来
世界的に地球温暖化対策が急務となる中、二酸化炭素排出量の少ない天然ガス自動車(NGV)に注目が集まっています。 ヨーロッパでは、環境規制の高まりを受け、商用車を中心に天然ガス自動車の普及が進んでいます。特に、路線バスやトラックなど、長距離走行が多い車両において、その経済性と環境性能が評価されています。 一方で、日本では、天然ガス自動車の普及は欧米に比べて遅れています。 これは、ガソリンスタンドに比べて天然ガスの充填ステーションの数が少ないことや、車両価格が割高であることなどが要因として挙げられます。しかし、近年、日本においても、環境性能の高さと燃料費の低廉さから、企業や自治体を中心に天然ガス自動車を導入する動きが見られています。 今後、水素ステーションなど、次世代エネルギーインフラの整備が進むにつれて、天然ガス自動車は、現実的な選択肢の一つとして、その存在感を増していく可能性を秘めていると言えるでしょう。
まとめ:ガス自動車は普及するのか?
ここまで見てきたように、ガス自動車には経済性や環境性能といったメリットがある一方で、インフラの不足や車両価格の高さといった課題も残されています。
普及には、ガススタンドの拡充や車両価格の低減、企業による積極的な導入などが不可欠と言えるでしょう。
世界的な脱炭素の流れの中、ガス自動車は、電気自動車や水素自動車と共に、次世代モビリティの一翼を担う可能性を秘めています。今後の技術革新や社会情勢の変化によって、ガス自動車を取り巻く状況は大きく変わっていく可能性もあり、動向に注目していく必要があります。