クルマの測定前準備「プリコンディショニング」とは?
車を知りたい
先生、自動車の用語で『プリコンディショニング』っていうのがありますが、どんな意味ですか?
自動車研究家
良い質問だね! プリコンディショニングは、簡単に言うと「測定前の準備運動」みたいなものなんだ。例えば、マラソン大会の前に準備運動するでしょ? あれと同じように、車をテストする前にも、決まった手順で走らせて状態を整える必要があるんだ。
車を知りたい
なるほど。でも、なんで準備運動が必要なんですか?
自動車研究家
それは、テストを公平な条件で行うためだよ。例えば、寒い日に車を走らせた直後と、温かいガレージにしばらく置いておいた後では、エンジンの状態が違うよね? だから、テスト前に同じ条件にするために、決まった手順でプリコンディショニングを行うんだ。
プリコンディショニングとは。
自動車用語の「プリコンディショニング」とは、排出ガス試験などの測定前に、車の状態を一定にする準備作業のことです。世界各国では、排出ガス試験や燃費試験、エバポ試験などで、決められた手順で走行や駐車を行いプリコンディショニングを実施した後、測定を行うことが義務付けられています。例えば、日本の10・15モードの排出ガス試験や燃費試験では、車をシャシーダイナモメーター(CDY)に設置し、測定前に60km/hの速度で15分間走行した後、アイドリング状態にし、再び60km/hで5分ほど走行します。また、エバポ試験では、車をCDYに設置し、測定前に11モードと10・15モードの走行を3回繰り返します。
プリコンディショニングの目的とは
自動車の性能を正しく評価するためには、測定を行う前にクルマの状態を一定の条件に揃えておく必要があります。これを「プリコンディショニング」と呼びます。プリコンディショニングを行う主な目的は、クルマの状態を安定させ、測定結果のばらつきを抑え、精度を高めることにあります。例えば、エンジンやブレーキの温度、タイヤの空気圧、バッテリーの充電状態などが測定結果に影響を与える可能性があります。プリコンディショニングによってこれらの要素をあらかじめ設定した状態にすることで、信頼性の高いデータを取得することができます。
様々な試験におけるプリコンディショニング
自動車の開発や評価には、様々な試験が実施されますが、正確なデータを得るためには、試験前の車両状態を一定の条件に揃える必要があります。この準備作業が「プリコンディショニング」です。プリコンディショニングの内容は、試験項目や目的、車両の種類などによって異なりますが、ここでは代表的な例をいくつかご紹介します。
例えば、燃費試験では、エアコンやオーディオの使用状態、タイヤの空気圧などを規定値に設定します。また、排出ガス試験では、一定時間エンジンを始動させて触媒を活性化させたり、燃料やオイルの温度を調整します。さらに、騒音試験では、車内外の温度や湿度を一定に保ち、風による影響を抑えるなど、試験環境にも配慮が必要です。
このように、プリコンディショニングは、試験結果の精度を左右する重要な要素と言えるでしょう。
日本における排出ガス試験と燃費試験でのプリコンディショニング
自動車の排出ガスや燃費を測定する際、単に車を試験装置に接続して測定するだけではありません。測定結果に影響を与えないよう、車両の状態を一定の条件に揃える「プリコンディショニング」と呼ばれる重要なプロセスがあります。
日本では、排出ガス試験と燃費試験のそれぞれで、プリコンディショニングに関する詳細な規定が定められています。例えば、排出ガス試験では、試験開始の少なくとも12時間前から車両を20~30℃の恒温室内に置き、エンジンを停止させておく必要があります。これは、外気温やエンジン温度が排出ガス量に影響を与えるためです。
一方、燃費試験では、試験前に車両を一定の速度で走行させるなどのプリコンディショニングが義務付けられています。これは、タイヤの温度やエンジンオイルの粘度が燃費に影響を与えるためです。
このように、プリコンディショニングは、自動車の排出ガスや燃費を正確かつ公平に測定するために欠かせないプロセスと言えるでしょう。
エバポ試験におけるプリコンディショニング
– エバポ試験におけるプリコンディショニング
エバポ試験とは、自動車のエアコンシステムにおいて、エバポレーターと呼ばれる部品の冷却能力を評価する試験です。エバポレーターは、カーエアコンの冷媒が気化することで車内の空気を冷やす、重要な役割を担っています。
このエバポ試験では、試験結果の精度を確保するため、プリコンディショニングが非常に重要となります。エバポレーターの性能は、車内外の温度や湿度、エアコンの使用状況など、様々な要因に影響を受けるためです。
具体的には、試験前に一定時間、車内温度や湿度を規定値に保つことで、エバポレーターの状態を安定させます。これにより、測定結果のばらつきを抑え、より正確な評価が可能になります。
プリコンディショニングの方法や条件は、試験の目的や規格によって異なりますが、いずれの場合も、適切なプリコンディショニングを行うことで、信頼性の高い試験結果を得ることができるのです。
プリコンディショニングの重要性
自動車の性能を正しく評価するためには、測定前の車両状態を一定の条件に揃えることが非常に重要です。気温や湿度、バッテリー残量、タイヤの温度など、様々な要因が測定結果に影響を与える可能性があります。例えば、気温が低い状態ではバッテリーの性能が低下し、燃費が悪化するといった現象が起こります。
プリコンディショニングを適切に行わない場合、測定結果にばらつきが生じ、車両本来の性能を正しく評価することができません。そのため、開発段階における性能目標の達成度合いを測ったり、市場に投入する際の品質を保証したりするためにも、プリコンディショニングは欠かせないプロセスとなっています。