クルマの「蒸発放出物」って何?環境への影響と対策
車を知りたい
先生、「蒸発放出物」って、車のどこから出ているんですか?
自動車研究家
良い質問だね!昔は吸気マニホールドからも出ていたんだけど、今はほとんど燃料タンクから出ているんだ。
車を知りたい
燃料タンクから蒸発するんですね! どうして蒸発してしまうんですか?
自動車研究家
燃料タンク内のガソリンが、気温の変化などで気体になってしまうからなんだ。 環境に悪いので、活性炭が入ったキャニスターという装置で、その蒸発したガスを回収しているんだよ。
蒸発放出物とは。
「蒸発放出物」とは、自動車の燃料タンクや吸気マニホールドから蒸発する燃料蒸気のことを指します。 近年では、電子制御式燃料噴射装置の普及により、吸気マニホールドからの燃料蒸発はほぼ発生しなくなり、燃料タンクからの蒸発が主な発生源となっています。 自動車の排出ガスには、マフラーから排出される排気ガス以外に、燃料タンクからの蒸発ガスやブローバイガスがありますが、現在ではブローバイガスの大気放出は禁止されています。 そのため、炭化水素の発生源として燃料タンクが挙げられますが、その放出量を低減するために、活性炭を充填したキャニスターが広く採用されています。
車の「蒸発放出物」とは?
車を所有していると、「排気ガス」という言葉はよく耳にすると思います。では、「蒸発放出物」という言葉は聞いたことがありますか? 実は、車から排出される有害物質は、排気ガスだけではないのです。
「蒸発放出物」とは、車の燃料であるガソリンや軽油が気化したガス成分のこと。燃料は、給油時や走行中の振動、駐車中の温度上昇などによって気化し、空気中に放出されます。
目には見えませんが、蒸発放出物は、大気を汚染し、光化学スモッグや地球温暖化の原因の一つとなっています。
蒸発放出物が環境に与える影響
クルマの蒸発放出物から発生する主な物質は、揮発性有機化合物(VOC)です。VOCは大気中で光化学反応を起こし、光化学オキシダントを生成します。光化学オキシダントは、呼吸器系への悪影響や、農作物への生育阻害を引き起こすなど、私たちの健康や生活環境に様々な影響を与えます。
また、蒸発放出物は地球温暖化にも影響を与えます。VOCの中には、二酸化炭素の数十倍から数百倍もの温室効果を持つものも存在し、地球温暖化を加速させる要因の一つとなっています。
蒸発放出物の発生源
クルマの蒸発放出物は、燃料タンクや燃料供給システムから揮発したガソリン蒸気が主な発生源です。 高温下ではガソリンは気化しやすく、駐車中の車内温度の上昇や、エンジン停止後の熱の影響で、燃料タンク内のガソリンが蒸発しやすくなります。 また、給油時に燃料タンク内の圧力が変化することでも、ガソリン蒸気が発生します。 これらの蒸発したガソリンは、大気中に放出されると、光化学スモッグの原因となる有害物質を含んでいるため、環境問題を引き起こす可能性があります。
蒸発放出物を抑える技術
クルマの燃料であるガソリンは、常温でも容易に蒸発する性質を持っています。この蒸発するガソリンは、走行時だけでなく、駐車中や給油時にも空気中に放出されてしまいます。このような蒸発によって生じるガスを「蒸発放出物」と呼びます。
蒸発放出物を抑えるためには、ガソリンタンクや燃料系の構造を工夫する必要があります。例えば、ガソリンタンク内の圧力を一定に保つことで、ガソリンの蒸発を抑える技術があります。また、蒸発したガソリンを吸着するキャニスターと呼ばれる装置も重要な役割を果たしています。キャニスターに吸着されたガソリンは、エンジンが始動するときに燃焼室へ送られ、無駄なく消費されます。
未来のクルマと蒸発放出物
電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)といった、走行時に排出ガスを出さない「ゼロエミッション車」の普及が期待されています。環境への負荷を低減する上で、これらのクルマの役割は非常に重要です。しかし、ゼロエミッション車は、走行時に排出ガスを出さない一方で、蒸発放出物の問題からは完全に解放されているわけではありません。
例えば、EVでもエアコンの冷媒として使われる代替フロンは、強力な温室効果ガスです。また、タイヤやブレーキの摩耗による粒子状物質の発生は、EVもガソリン車と同様に課題として残ります。
未来のクルマ社会において、真に環境負荷を低減するためには、蒸発放出物を抑制する技術開発や、規制の強化などが引き続き重要となります。具体的には、蒸発ガソリンを回収する技術の進化、低環境負荷な冷媒やタイヤの開発などが挙げられます。
また、カーシェアリングや公共交通機関の利用促進など、クルマの利用自体を減らすことも、蒸発放出物の削減に貢献します。
未来のモビリティ社会を見据え、総合的な視点から環境問題に取り組んでいく必要があります。