自動車安全の要!欧州衝突安全基準とは?

自動車安全の要!欧州衝突安全基準とは?

車を知りたい

先生、「欧州衝突安全基準」って、ヨーロッパ全体で統一された安全基準のことですよね?

自動車研究家

その通りです。ただ、昔から統一されていたわけではなく、1992年以降に統一されていったんだよ。

車を知りたい

そうなんですね。どうして統一されるようになったのですか?

自動車研究家

それは、EC市場統合という大きな変化があったからなんだ。各国バラバラの基準だと、貿易の際に障害になるだろう?

欧州衝突安全基準とは。

「欧州衝突安全基準」とは、ヨーロッパで導入されている自動車の安全基準です。かつてヨーロッパでは、国ごとに独自の安全基準を設けていたため、これが経済活動の妨げとなっていました。しかし、1992年のEC市場統合を機に、統一的な安全基準が求められるようになりました。そして、1993年からは、自動車の統一型式認証制度が導入され、現在に至ります。具体的な自動車の安全基準としては、ECE規制(93項目)とEEC指令(45項目)があり、これらに基づき、前面衝突と側面衝突に関する新たな安全基準が法制化されています。

欧州衝突安全基準誕生の背景

欧州衝突安全基準誕生の背景

自動車の安全性能に対する関心の高まりとともに、世界中で様々な安全基準が制定されてきました。その中でも、特に厳しい基準として知られるのが欧州衝突安全基準(Euro NCAP)です。1997年にヨーロッパで誕生したこの基準は、今では世界中の自動車メーカーにとって重要な指標となっています。では、なぜEuro NCAPは誕生したのでしょうか?

その背景には、交通事故による死傷者数を減らしたいという強い願いがありました。当時のヨーロッパでは、交通事故が社会問題となっていました。そこで、自動車の安全性能を向上させることで、事故の被害を軽減しようと、Euro NCAPが設立されたのです。

Euro NCAPは、消費者に対して客観的な安全性能情報を提供することで、安全な車選びを促進することを目指しました。また、自動車メーカーに対しては、より安全な車を作るように促す効果も期待されていました。

ECE規制とEEC指令:二つの柱

ECE規制とEEC指令:二つの柱

自動車の安全性において、世界的に影響力を持つ欧州衝突安全基準。その根幹をなすのがECE規制とEEC指令です。この二つの枠組みが、ヨーロッパ域内における自動車の安全性能向上を牽引してきました。

まず、ECE規制は、国連欧州経済委員会(UNECE)が策定する国際的な車両基準です。ランプの光度やブレーキ性能など、多岐にわたる項目を網羅し、加盟国間で共通の安全基準を設けることで、国際的な車両貿易の円滑化を目指しています。

一方、EEC指令は、かつての欧州共同体(EC)が独自に定めていた技術基準です。ECE規制と同様に幅広い安全項目をカバーしており、欧州市場に参入する自動車メーカーに対して、厳しい安全基準への適合を義務付けていました。

現在、EEC指令は廃止され、新たにEU指令として統合・発展していますが、ECE規制とEEC指令の二つの柱が築き上げた安全基準は、今日の欧州衝突安全基準の礎となっています。

衝突安全性能評価:新車アセスメントプログラム(NCAP)

衝突安全性能評価:新車アセスメントプログラム(NCAP)

– 衝突安全性能評価新車アセスメントプログラム(NCAP)

自動車の安全性は、事故発生時の乗員の保護性能によって大きく左右されます。その安全性を客観的に評価し、より安全な自動車開発を促進するために設けられたのが、新車アセスメントプログラム(NCAP New Car Assessment Program)です。

NCAPは、世界各国で実施されており、それぞれ独自の試験方法を採用していますが、基本的には前面衝突、側面衝突、ポール衝突、そして近年注目されている歩行者保護性能など、様々な角度からの衝突試験を行い、その結果を星の数(5段階評価が多い)で評価・公表しています。

消費者はこの評価を参考に、安全性に優れた車を選ぶことが可能となります。また、メーカーは評価結果に基づいて、安全性能の向上に努めることが求められます。このように、NCAPは自動車の安全性能向上に大きく貢献しています。

進化し続ける安全基準:自動緊急ブレーキ(AEB)の導入

進化し続ける安全基準:自動緊急ブレーキ(AEB)の導入

近年、自動車の安全性能は飛躍的に向上しています。その背景には、世界中で採用されている様々な安全基準の存在があります。中でも、世界で最も厳しい基準の一つとして知られているのが、欧州衝突安全基準(Euro NCAP)です。

Euro NCAPは、1997年にヨーロッパで設立された独立機関によって実施されている自動車安全性能評価プログラムです。衝突安全性、歩行者保護性能、安全支援技術の3つの主要な評価項目に基づき、市販車を対象に評価試験を実施し、その結果を星の数(最高5つ星)で公表しています。

近年、Euro NCAPは、事故を未然に防ぐための予防安全技術の評価に力を入れています。その代表的な例が、自動緊急ブレーキ(AEB)です。AEBは、車両に搭載されたセンサーが前方の障害物を検知し、運転者に警告を発するとともに、衝突の危険性が高いと判断した場合には自動でブレーキを作動させるシステムです。

Euro NCAPでは、AEBの評価項目として、市街地、郊外、高速道路など、様々な走行状況を想定したテストを実施しています。例えば、市街地でのテストでは、車両が停止している状態から歩行者や自転車が飛び出してくるケース、前走車が急ブレーキをかけたケースなどが想定されます。

AEBの導入により、追突事故や歩行者との事故を大幅に削減できることが期待されています。そのため、Euro NCAPでは、AEBを高い評価を得るための必須条件としており、自動車メーカー各社は、AEBの標準搭載を進めています。

このように、Euro NCAPは、常に最新の安全技術を評価項目に追加することで、自動車の安全性能向上を牽引しています。日本でも、Euro NCAPを参考に、JNCAP(自動車アセスメント)という自動車安全性能評価プログラムが実施されています。自動車を選ぶ際には、これらの安全性能評価の結果を参考に、安全性の高い車を選ぶことが重要です。

日本の自動車産業への影響

日本の自動車産業への影響

欧州衝突安全基準は、その厳格な評価基準で知られており、日本の自動車産業にも大きな影響を与えています。世界で最も厳しい基準の一つとされるため、日本の自動車メーカーは、欧州市場への参入や国際的な競争力を維持するために、これらの基準を満たす、あるいは上回る安全性能を備えた自動車の開発・製造を迫られています。具体的には、より強固な車体構造、先進的な安全装備の導入、衝突時の歩行者へのダメージ軽減など、多岐にわたる技術革新が必要とされます。 この結果、日本の自動車の安全性は向上し、世界トップレベルを維持する原動力の一つとなっています。しかしながら、基準に対応するための開発コスト増加は、企業努力だけでは吸収しきれない部分もあり、政府による支援策なども求められています。

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