品質を決める「保持圧」：その役割と重要性
車を知りたい
先生、「保持圧」ってなんですか？ ダイキャストとか射出成形とかで出てくるみたいなんですが…
自動車研究家
いい質問だね！ 「保持圧」は、溶かした金属やプラスチックを金型に流し込んだ後、それをギュッと一定の圧力で押さえ続ける圧力のことを言うんだ。例えば、射出成形だと、プラスチックを流し込んだ後も、すぐには型を開けずに圧力をかけておく必要があるんだよ。
車を知りたい
ふーん。でも、なんでずっと圧力をかけ続ける必要があるんですか？ 流し込んだら終わりじゃないんですか？
自動車研究家
もし圧力をかけないと、まだ固まっていない材料が逆流したり、冷えて固まる時に変形したりしてしまうんだ。だから、しっかり固まって、製品の形が綺麗に仕上がるように、保持圧をかけておく必要があるんだよ。
保持圧とは。
自動車用語の「保持圧」について説明します。ダイキャスト鋳造やプラスチック射出成形では、溶かしたアルミニウムやプラスチックを金型に圧力をかけて注入します。この時、注入が完了した後も一定時間、決められた圧力を保持する必要があります。この圧力を「保持圧」、時間を「保持時間」と言います。例えば、射出成形の場合、溶けたプラスチックを金型に充填した後、すぐに圧力を開放してしまうと、ゲート部分が固まっていないため、樹脂がゲートを通って逆流してしまいます。また、ゲートが固まっていたとしても、成形時の収縮や冷却速度の違いによって、製品にヒケや変形などの不不良が発生する可能性があります。そのため、充填後も圧力をかけ続ける必要があるのです。
射出成形における「保持圧」とは？
射出成形は、加熱して溶かしたプラスチック材料を金型に射出し、冷却・固化させて製品を作る加工方法です。この射出成形プロセスにおいて、「保持圧」は非常に重要な役割を担っています。
保持圧とは、溶かしたプラスチック材料を金型に射出した後、金型内で製品が固化するまで圧力をかける工程のことです。この圧力をかけることで、製品内部の空洞発生や収縮を抑制し、寸法精度や品質を確保することができます。
なぜ「保持圧」が必要なのか？
射出成形において、金型に溶けた樹脂を注入する工程は非常に重要ですが、実はその後の「保持圧」をかける工程も、製品の品質を左右する重要な要素です。
なぜ「保持圧」が必要なのでしょうか？溶けた樹脂を金型に注入しただけでは、まだ製品として完成形ではありません。樹脂は冷却される過程で収縮しようとしますし、金型内部の圧力も変化するため、そのまま放置すると製品に「ひけ」や「変形」などの不具合が生じてしまいます。
そこで「保持圧」の出番です。「保持圧」とは、樹脂が固化するまで金型を一定の圧力で締め付け続ける力のことです。この圧力によって、収縮しようとする樹脂を金型の形状に密着させ、内部の圧力を一定に保つことで、欠陥のない高品質な製品を作り出すことができるのです。
保持圧不足で起こる不具合
射出成形において、金型内部の溶融樹脂に適切な圧力をかける「保持圧」は、製品の品質を左右する重要な要素です。
この保持圧が不足すると、様々な不具合が発生し、製品の品質低下に繋がります。
まず、寸法不良や変形が挙げられます。
保持圧が不足すると、溶融樹脂が十分に充填されず、製品が収縮してしまうためです。
また、内部に空洞（ボイド）が発生することもあります。
これは、樹脂が冷却固化する際に体積が収縮し、保持圧が不足していると空洞を埋めるだけの樹脂が供給されないために起こります。
さらに、表面のヒケも問題となります。
これは、製品内部の冷却速度と表面の冷却速度の差によって収縮率が異なり、表面が凹んでしまう現象です。
保持圧が不足すると、このヒケが顕著になりやすいです。
このように、保持圧の不足は様々な不具合を引き起こし、製品の品質に大きな影響を与えます。
最適な保持圧の設定
射出成形において、製品の品質を左右する重要な要素の一つに「保持圧」があります。 保持圧とは、金型内に溶融樹脂を充填した後、金型内で冷却固化するまで一定の圧力をかけることを指します。
適切な保持圧を設定することで、寸法精度が高く、表面が滑らかで、内部に空隙やヒケのない高品質な製品を成形することができます。
最適な保持圧の設定は、材料、金型、成形条件など、様々な要素を考慮する必要があります。一般的には、充填工程で設定した射出圧力の70～90%程度を目安とすることが多いですが、経験豊富な技術者による調整が重要となります。
最適な保持圧を見つけるためには、試作品を用いた成形実験 が有効です。保持圧を変化させながら成形を行い、製品の寸法、重量、外観などを測定し、品質と相関を分析することで、最適な保持圧を決定することができます。
保持圧の設定は、製品の品質に直結する重要な工程です。適切な設定と管理によって、高品質な製品を安定的に生産することができます。
まとめ：高品質な製品のために
保持圧は、製品の品質を左右する重要な要素です。適切な保持圧を設定することで、寸法精度が向上し、バリやヒケの発生を抑え、美しい表面を実現できます。本稿で解説した通り、材料、形状、金型など、考慮すべき要素は多岐に渡ります。しかし、これらの要素を理解し、最適な保持圧管理を行うことは、高品質な製品を生み出すことに繋がります。ぜひ、これを機に保持圧についてより深く理解し、日々の業務に役立ててください。