クルマの寿命に関わる？「ヒートクラック」の正体とは

クルマの寿命に関わる？「ヒートクラック」の正体とは

１．ヒートクラックとは？

クルマのエンジンルームは、まさに過酷な環境です。高温、高圧、そして激しい振動といった負担に常にさらされています。そんな過酷な環境下で、エンジン内部の部品を保護する役割を担っているのが、エンジンオイルや冷却水です。

しかし、過酷な環境であるがゆえに、これらのオイルや冷却水が劣化し、本来の性能を発揮できなくなることがあります。その結果、エンジン内部の温度が異常上昇し、金属部品にひび割れが発生してしまうことがあります。これが「ヒートクラック」と呼ばれる現象です。

２．ヒートクラックが発生しやすい箇所

ヒートクラックは、クルマのあらゆる場所に発生する可能性を秘めていますが、特に発生しやすい箇所がいくつか存在します。

まず挙げられるのが、エンジンのシリンダーヘッドです。ここは燃焼室からの高温高圧に直接さらされるため、非常に過酷な環境にあります。冷却水の循環が悪くなったり、エンジンオイルの劣化が進んだりすると、ヒートクラックのリスクが高まります。

また、排気マニホールドもヒートクラックの発生しやすい箇所です。排気ガスは高温であるため、排気マニホールドにも大きな熱負荷がかかります。経年劣化や振動によるクラック発生にも注意が必要です。

その他、ターボチャージャーやDPF（ディーゼルパティキュレートフィルター）など、高温にさらされるパーツもヒートクラックが発生しやすいと言えるでしょう。

３．ヒートクラックのメカニズム

ヒートクラックは、急激な温度変化によって発生するクラックです。高温になった部品に、冷たい水などがかかると、急激に収縮しようとする力が働き、その際にクラックが発生するのです。

例えば、高温になったエンジンルームに、洗車時の冷水が誤ってかかってしまうと、ヒートクラックが発生する可能性があります。また、熱いマフラーに冷たい雨水が当たった場合なども注意が必要です。

４．ヒートクラックが引き起こすリスク

小さなひび割れと甘く見てはいけないヒートクラック。部品の交換費用もさることながら、放置することで二次被害を引き起こし、クルマの寿命を縮める可能性も孕んでいます。

例えば、エンジンルーム内のヒートクラックから冷却水が漏れ出すと、オーバーヒートを起こしエンジン本体に深刻なダメージを与えるケースも。また、排気ガスが漏れると、燃費が悪化したり、有害物質が車内に侵入するリスクも考えられます。

愛車を長く安全に乗るためにも、日頃からヒートクラックの発生に気を配り、早期発見・早期対応を心がけましょう。定期的な点検や、異音・異臭を感じたらすぐに専門業者に相談するなど、予防策を講じることが大切です。

５．ヒートクラックを防ぐためには？

愛車を長持ちさせるためには、ヒートクラックの発生を防ぐための予防策が重要です。ここでは、具体的な対策方法をご紹介します。

まず、冷却水の定期的な交換は必須です。 冷却水は時間の経過とともに劣化し、防錆効果や熱伝導率が低下するため、少なくとも2年に1回、あるいは走行距離4万キロを目安に交換するようにしましょう。

また、エンジンオイルの適切な管理も重要です。エンジンオイルはエンジンの潤滑や冷却にも関わっており、定期的な交換を怠るとエンジン内部の温度が上昇し、ヒートクラックのリスクが高まります。

さらに、日頃から車の異常に気を配ることも大切です。水温計の異常な上昇や冷却水の漏れ、エンジンルームからの異音など、ヒートクラックの前兆となる症状を見逃さないようにしましょう。 早期発見・早期対処が、ヒートクラックによる重大なトラブルを防ぐ鍵となります。