バルブタイミングダイヤグラムを読み解く
車を知りたい
先生、「バルブタイミングダイヤグラム」って、何だか難しそうです。吸気バルブと排気バルブのタイミングを見るって書いてあるけど、なんでタイミングが大切なんですか?
自動車研究家
いい質問だね! バルブのタイミングは、エンジンの性能に大きく影響するんだ。例えば、吸気バルブが開くタイミングが早すぎるとどうなると思う?
車を知りたい
うーん、吸気が早すぎるってことは、まだ排気が終わってない時に吸気してしまうってことですか?
自動車研究家
その通り! そうすると、新しい空気と排気ガスが混ざってしまい、燃焼効率が悪くなってしまうんだ。だから、バルブタイミングダイヤグラムで最適なタイミングを調整することが重要なんだよ。
バルブタイミングダイヤグラムとは。
『バルブタイミングダイヤグラム』とは、車のエンジンで吸気と排気のバルブがいつ開いていつ閉じるのかを示した図のことです。エンジンの回転角度を基準に、バルブが開いている部分を円弧で表しています。吸気のバルブは、ピストンが上死点に達する少し前から開き始め、下死点を過ぎた後に閉まります。排気のバルブは、ピストンが下死点に達する前に開き始め、上死点を過ぎた後に閉まります。この図を見ると、バルブが開いている角度や、吸気と排気のバルブが同時に開いているタイミング、カムシャフトの取り付け角度などがわかります。
バルブタイミングダイヤグラムとは
– バルブタイミングダイヤグラムとは
バルブタイミングダイヤグラムとは、エンジンのクランクシャフトの回転角度に対して、吸気バルブと排気バルブの開閉タイミング、リフト量(バルブが開く量)を視覚的に表現した図です。この図から、エンジンの吸気、圧縮、爆発、排気の各行程におけるバルブの動きを把握することができます。
バルブタイミングは、エンジンの出力特性、燃費、排ガスなどに大きな影響を与えるため、エンジンの性能を左右する重要な要素となります。バルブタイミングダイヤグラムを読み解くことで、エンジンの特性やチューニングの方向性などを理解することができます。
吸気バルブと排気バルブの動き
エンジンの吸気と排気を担うバルブ。その開閉タイミングを図式化したものがバルブタイミングダイヤグラムです。 縦軸はクランクシャフトの回転角度、横軸は時間を表し、吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングとリフト量が一目でわかるようになっています。
この図を見ると、まずピストンが下降し始める少し前に吸気バルブが開き始めることがわかります。これは、ピストンが下降する際に生じる負圧を利用して、より多くの混合気をシリンダー内部に導き入れるためです。
次に、ピストンが上死点に達する少し前に吸気バルブが閉じます。これは、慣性力を利用して、より多くの混合気をシリンダー内部に押し込むためです。 この吸気バルブが閉じるタイミングとピストンが上死点に達するタイミングとのズレをバルブオーバーラップと呼び、エンジンの出力特性に大きな影響を与えます。
排気バルブは、ピストンが下死点に達する少し前に開き始めます。これは、燃焼後のガスをスムーズに排出するためです。そして、ピストンが上死点に達する少し後に排気バルブは閉じます。これは、排気ガスを完全に排出するためです。
バルブオーバーラップの重要性
エンジン性能を左右する要素の一つに、バルブタイミングがあります。バルブタイミングダイヤグラムは、エンジンのクランクシャフトの回転角度に対して、吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングを示したグラフです。このダイヤグラムからは、様々な情報を読み解くことができますが、中でも特に重要なのが「バルブオーバーラップ」です。
バルブオーバーラップとは、排気行程から吸気行程に移り変わる際に、排気バルブと吸気バルブが同時に開いている状態を指します。この状態を作り出すことで、排気ガスの流れを利用して、より多くの新鮮な混合気をシリンダー内部に導き入れることが可能になります。
バルブオーバーラップ量は、エンジンの出力特性や燃費に大きく影響します。一般的に、高回転型のエンジンでは、より多くの混合気を必要とするため、バルブオーバーラップ量を大きく設定します。一方、低回転型のエンジンや燃費重視のエンジンでは、バルブオーバーラップ量を小さく設定するのが一般的です。
バルブオーバーラップは、エンジンの性能を最適化する上で非常に重要な要素です。バルブタイミングダイヤグラムから、バルブオーバーラップの量やタイミングを読み解くことで、エンジンの特性をより深く理解することができます。
カムの取付け角度との関係
カムの取付け角度は、バルブタイミングに直接影響を与える重要な要素です。 カムはクランクシャフトの回転運動をバルブのリフト運動に変換する役割を担っており、その取り付け角度によってバルブが開閉するタイミングが変化します。
カムの取付け角度を進角させると、バルブが開くタイミングが早まり、閉じるタイミングも早くなります。 これを「進角させる」と言い、高回転域での出力向上を狙う場合に有効です。一方、カムの取付け角度を遅角させると、バルブが開くタイミングが遅くなり、閉じるタイミングも遅くなります。これを「遅角させる」と言い、低回転域でのトルク向上や燃費向上を狙う場合に有効です。
バルブタイミングダイヤグラム上では、カムの取付け角度の変化は、バルブのリフトカーブ全体が左右にシフトする形で現れます。進角させるとカーブは左に、遅角させると右にシフトします。このシフト量を把握することで、カムの取付け角度がバルブタイミングにどのように影響しているかを具体的に読み解くことができます。
エンジン性能への影響
バルブタイミングは、エンジンの出力特性や燃費性能に大きな影響を与えます。 バルブが開いているタイミングや期間を調整することで、吸入する混合気の量や排気ガスの排出効率をコントロールし、エンジンの性能を最適化できるのです。
例えば、高回転域での出力向上を狙う場合、バルブの開くタイミングを早めたり、閉じるタイミングを遅らせたりすることで、より多くの混合気を燃焼室に送り込むことができます。 しかし、低回転域では逆に充填効率が低下し、トルクが細くなってしまう可能性があります。
一方、燃費向上を目指す場合は、バルブの開くタイミングを遅らせたり、閉じるタイミングを早めたりすることで、ポンピングロスを減らし、燃焼効率を高めることができます。 ただし、出力は低下する傾向にあります。
このように、バルブタイミングはエンジンの出力特性や燃費性能に大きく影響を与えるため、車両の用途やドライバーの好みに合わせて最適な設定が求められます。