吸気弁閉(ABDC)とは?エンジンの性能への影響を解説

吸気弁閉(ABDC)とは?エンジンの性能への影響を解説

車を知りたい

先生、「吸気弁閉」って、ピストンが下死点に達してからバルブが閉じるまでの角度のことですよね?でも、なんでわざわざこんなタイミングで閉じるんですか?ピストンが上に行くまでに閉じておけばいいんじゃないですか?

自動車研究家

いい質問ですね! 実は、ピストンが下死点に達した後も、しばらくの間は吸い込みの勢いが残っているんだ。だから、下死点を過ぎても少しの間バルブを開いておいた方が、より多くの空気を吸い込めるんだよ。

車を知りたい

なるほど!勢いを利用するんですね。でも、閉じすぎると今度は吸い込みにくくなってしまうし…タイミングが重要なんですね。

自動車研究家

その通り!吸気弁閉のタイミングはエンジンの性能に大きく影響するんだ。だから、エンジンの種類や目的によって、最適な角度が設定されているんだよ。

吸気弁閉とは。

自動車用語の「吸気弁閉」とは、吸気バルブがピストン運動と連動し、ピストンが上死点に達する前に開き始め、下死点を過ぎた後に閉じるタイミングを指します。具体的には、ピストンが下死点を通過してから吸気バルブが閉じるまでのクランクシャフトの回転角度で表されます。例えば、「吸気弁閉45度」は、ピストンが下死点を通過した後、クランクシャフトが45度回転した時点で吸気バルブが閉じることを意味し、「45ABDC」と表記されます。

吸気弁閉(ABDC)とは?

吸気弁閉(ABDC)とは?

吸気弁閉(ABDC)とは、エンジンの吸気行程において、ピストンが下死点に達した後も吸気弁をしばらく開いたままにすることです。 ABDCはAfter Bottom Dead Centerの略で、下死点後クランク角度とも呼ばれます。

通常、ピストンが下死点に達すると吸気行程は終了し、吸気弁は閉じます。 しかし、ABDCを採用することで、ピストンが上昇し始めても空気の慣性を利用して、より多くの空気をシリンダー内に取り込むことができます。

吸気弁閉時期とバルブオーバーラップ

吸気弁閉時期とバルブオーバーラップ

吸気弁がいつ閉じるのかを示すABDCは、エンジンの性能に大きな影響を与えます。特に、吸気弁が閉じるタイミングと排気弁が開くタイミングが重なる「バルブオーバーラップ」と呼ばれる現象に深く関わっています。

バルブオーバーラップは、排気ガスの流れを利用して、より多くの新鮮な混合気をシリンダー内に取り込む効果を狙っています。この時、ABDCのタイミングを適切に設定することで、より多くの新鮮な混合気を吸入し、燃焼効率を向上させることが可能になります。

逆に、ABDCのタイミングが適切でないと、せっかく吸い込んだ混合気が排気管へ逆流してしまう「吹き返し」や、燃焼が不安定になるなどの問題が発生する可能性があります。そのため、エンジンの特性や求められる性能に合わせて、最適なABDCを設定することが重要です。

ABDCがエンジン性能に与える影響

ABDCがエンジン性能に与える影響

吸気弁の閉タイミングであるABDCは、エンジンの出力特性や燃費に大きく影響します。 ABDCを遅らせると、ピストンが下降する際に発生する慣性力でより多くの空気を取り込むことができます。これは「慣性過給効果」と呼ばれ、高回転域での出力向上に貢献します。

一方で、低回転域では吸気行程の時間が短いため、ABDCを遅らせすぎると吸入空気量が減少し、トルクが低下する可能性があります。 ABDCを進めると、低回転域でのトルク向上や燃費改善に繋がる一方、高回転域での出力は低下する傾向にあります。

最適なABDCは、エンジンの種類や用途、運転条件によって異なり、様々な要素を考慮して決定されます。

ABDCの調整

ABDCの調整

– ABDCの調整

ABDCはエンジンの性能に大きな影響を与えるため、目的に応じて最適なタイミングに調整されます。この調整は、カムシャフトの設計や、可変バルブタイミング機構(VVT)によって行われます。

高回転・高出力重視のエンジンでは、ABDCを遅らせることで、慣性効果を利用してより多くの空気をシリンダー内に取り込むことができます。一方、低回転・低燃費重視のエンジンでは、ABDCを早めることで、排気ガスがシリンダー内へ逆流するのを防ぎ、燃焼効率を高めます。

近年では、走行状況に応じてABDCを連続的に変化させる技術も開発されており、幅広い回転域で高い性能と燃費効率を実現しています。

まとめ

まとめ

この記事では、吸気弁閉タイミング(ABDC)がエンジンの出力、トルク、燃費、排ガスに与える影響について解説しました。

ABDCは、エンジンの性能を左右する重要な要素の一つです。
最適なABDCは、エンジンの回転数や負荷によって変化します。そのため、可変バルブタイミング機構(VVT)を採用することで、様々な運転状況に合わせてABDCを最適化し、エンジン性能を向上させることが可能です。

ABDCについて理解を深め、あなたの車選びや日々の運転に役立ててください。

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