居住性と空力向上の鍵? キャブフォワードデザインとは
車を知りたい
先生、「キャブフォワード」ってどういう意味ですか?スポーツカーによく使われるデザインのことですか?
自動車研究家
良い質問ですね!「キャブフォワード」は、乗員空間を車体に対して前に配置するデザインのことです。確かにスポーツカーにも多いですが、実はそれだけではありません。
車を知りたい
え、そうなんですか?スポーツカー以外だと、どんな車に使われているんですか?
自動車研究家
1990年代にクライスラーというメーカーが、普通のセダンに「キャブフォワード」を取り入れて、広々とした車内空間を実現したんです。その後、他のメーカーも追随しました。つまり、今ではスポーツカーだけでなく、普通の乗用車にも広く採用されているデザインなんですよ。
キャブフォワードとは。
「キャブフォワード」とは、車のキャビン部分を車体全体に対して前方に配置したデザインのことです。もともとミッドシップエンジンのスポーツカーでは、車体中央部にエンジンを搭載するため、乗員空間であるキャビンは必然的に前方に押し出された形状になります。さらに、空気抵抗を減らすためにフロントガラスを傾斜させるデザインが主流となり、キャビンをより前方へ配置したデザインが、高性能スポーツカーの象徴的なスタイルとして定着しました。1990年代前半、クライスラーはこの「キャブフォワード」デザインを、フロントエンジンの中型セダンであるLHカーに採用し、その後、他社も追随しました。このデザインの利点としては、フロントガラスを前方に配置することで、空気抵抗の低減と、前席の居住空間の拡大に貢献することが挙げられます。
キャブフォワード:その定義と起源
自動車のデザインにおいて、居住空間の広さと空気抵抗の低減は常に重要なテーマです。その両方を追求する中で生まれた革新的なデザインの一つが「キャブフォワード」です。キャブフォワードとは、文字通り「キャビン(客室)を前方へ」配置した設計思想、またはその特徴を持つ車両を指します。具体的には、フロントアクスル(前輪の車軸)より前方にエンジンを搭載せず、運転席を可能な限り前方に配置することで、従来の設計では実現できなかった居住空間の拡大と空力性能の向上を両立させています。
ミッドシップスポーツカーにおける必然性
スポーツカーの中でも、特に高い走行性能を追求するミッドシップレイアウト。エンジンを車体中央に配置するこの方式は、重量バランスに優れる反面、キャビン空間が犠牲になりがちです。そこで登場するのが、キャブフォワードデザインです。キャブフォワードとは、文字通りキャビンを車両前方に配置するデザインのこと。これにより、限られた全長の中で、居住空間を最大限に確保することが可能になります。
ミッドシップスポーツカーにおいて、キャブフォワードデザインは単なるスタイリング上の特徴ではありません。 エンジンを車体中央に置くことで生じる、フロントノーズの低さは、空気抵抗の軽減に大きく貢献します。さらに、キャビンを前方に配置することで、前面投影面積を小さくできるため、空力性能の向上に一層効果を発揮します。結果として、高速走行時の安定性や燃費向上にも寄与する、機能美に優れたデザインと言えるでしょう。
空力特性向上のためのデザイン進化
自動車のデザインは、時代の流れとともに大きく変化してきました。特に、空気抵抗を減らし、燃費を向上させるための空力デザインの進化は目覚ましいものがあります。その中で、近年注目を集めているのが「キャブフォワードデザイン」です。これは、キャビンを車両の前方へ配置することで、前面投影面積を減らし、空気抵抗の低減を図るというものです。トラックやバスなどの商用車から、乗用車まで幅広く採用され始めています。
LHカーが切り開いた新時代
1960年代、日本の輸送業界は高度経済成長の波に乗り、旅客・物流ともに急増していました。この需要に応えるべく、トラックやバスといった商用車はより多くの荷物を、より多くの人を運ぶために大型化が進みます。しかし、大型化は同時に居住性や燃費の悪化という課題も浮き彫りにしました。 そこで登場したのが「キャブフォワードデザイン」です。 キャブオーバーとも呼ばれるこのデザインは、従来トラックの前方にあったエンジンを運転席の下に配置することで、限られた車体サイズの中で荷室や客室空間を最大限に確保する画期的なものでした。
1963年、三菱ふそうはキャブフォワードデザインを採用した画期的なトラック「T910型」を発売、通称「ふそうブルーテック」として親しまれました。 続いて1964年には、日野自動車が「KF型」を、いすゞ自動車が「TD1型」を発売。これら3社の頭文字をとって「LHカー」と呼ばれたこれらのトラックは、日本の物流を支える存在として活躍しました。キャブフォワードデザインは、その後の日本の商用車のスタンダードとなり、現在も多くのトラックやバスに採用されています。
キャブフォワードのメリットとデメリット
キャブフォワードデザインは、トラックやバスなどの商用車で見られる設計思想です。一般的な車両と比べて、キャビンを車両前方に配置することで、様々なメリットとデメリットが生まれます。
最大のメリットは、広い室内空間を確保できることです。キャビンを前に出すことで、後方の荷室や客室スペースを拡大できます。これは、貨物積載量や乗客定員の増加に繋がり、物流効率や輸送能力の向上に貢献します。また、運転席からの視界が広く、死角が減ることもメリットとして挙げられます。前方視界が良好になることで、安全性が高まり、運転時の疲労軽減にも繋がります。
一方、デメリットも存在します。キャブフォワード車は、衝突時の安全性確保が難しいという側面があります。キャビンとエンジンルームの間にクラッシャブルゾーンを設けるのが難しく、前面衝突時の衝撃を吸収しにくいためです。そのため、メーカーは様々な安全技術を導入し、安全性の向上に取り組んでいます。また、エンジンルームへのアクセスが悪く、整備性が低いという点もデメリットとして挙げられます。