懐かしの技術 バキュームリミッターとは

車を知りたい
先生、バキュームリミッターってなんですか?自動車の用語らしいんですけど、よく分からなくて。

自動車研究家
ああ、バキュームリミッターね。昔の車の排ガス対策に使われていた装置だよ。簡単に言うと、アクセルから足を離した時にエンジンが急に止まってしまうのを防ぐためのものなんだ。

車を知りたい
エンジンが急に止まる? どうしてですか?

自動車研究家
アクセルを離すとエンジンへの燃料供給が減るんだけど、昔の車はそれが急過ぎたんだ。バキュームリミッターは、エンジンへの空気の量を調整して、燃料が減ってもエンジンがスムーズに回り続けるようにしてたんだよ。
バキュームリミッターとは。
「バキュームリミッター」とは、自動車、特に昔のキャブレーター式エンジンに搭載されていた排ガス対策装置です。エンジンブレーキ使用時などに発生するハイドロカーボンを減らすための装置で、アクセルペダルから足を離した際にも吸気系内の負圧が極端に低下しないように、スロットルの戻り速度を調整する役割を担っていました。これにより、エンジンブレーキ時でもシリンダー内での燃焼が安定し、有害物質であるハイドロカーボンの発生を抑制しました。バキュームリミッターには、ダッシュポット式やスプリング式などの種類がありましたが、現在では、より効果的な燃料カット技術が普及したため、ほとんど使われていません。
バキュームリミッターの役割とは?

自動車のエンジンは、アクセルを踏むことで空気を吸い込み、燃料と混合して爆発させることで動力を得ています。この時、吸込む空気の量を調整するのがスロットルバルブと呼ばれる部品ですが、バキュームリミッターは、このスロットルバルブの開度を制限することで、エンジンの出力を抑える役割を担っていました。
排ガス規制とハイドロカーボン

高度経済成長期、自動車の排ガスによる大気汚染が深刻化し、世界中で排ガス規制が強化されていきました。特に、人体への影響が大きいハイドロカーボン(HC)の排出量削減は急務とされ、各国はより厳しい規制値を設定していきました。日本では、1970年代にマスキー法に対応するため、触媒技術の開発と並行して、様々な排ガス浄化技術が開発されました。その一つが、今回紹介するバキュームリミッターです。
バキュームリミッターの仕組み

バキュームリミッターは、その名の通りエンジンの負圧を利用して燃料供給を制御し、エンジン回転数を制限する仕組みです。当時のガソリンエンジンは、ピストンが上下する際に発生する負圧を利用して燃料を吸い上げていました。この負圧を利用して、ダイヤフラムと呼ばれる薄い膜を動作させ、燃料供給を調整するのがバキュームリミッターです。
具体的には、エンジン回転数が設定値を超えると、負圧が変化します。この変化をダイヤフラムが感知し、燃料供給経路に設けられたバルブを閉じることで、燃料供給を絞りエンジン回転数を制限します。
バキュームリミッターは、シンプルな構造ながら、低コストで比較的高い効果を発揮しました。そのため、1980年代から1990年代にかけて、多くの国産車に搭載されていました。
ダッシュポット式とスプリング式の比較

エンジンの回転数を制御する機構として、かつてはバキュームリミッターが活躍していました。その中でも、ダッシュポット式とスプリング式は代表的な方式として知られています。
ダッシュポット式は、負圧を利用してシリンダー内のピストンを動かし、アクセルとスロットルバルブの間に抵抗を生み出すことで、エンジンの回転数を制限します。一方、スプリング式は、負圧によってダイヤフラムを引っ張り、スプリングの力でスロットルバルブを閉じることで回転数を制御します。
構造が単純で安価なダッシュポット式に対し、スプリング式はより精密な制御が可能という特徴があります。しかし、いずれの方式も、現代の電子制御式に比べて正確性に欠けるため、現在では主流ではなくなっています。
燃料カットの登場と衰退

かつて、ガソリンエンジンの出力制御において、重要な役割を担っていたのが「バキュームリミッター」という機構です。特に、1970年代後半から1980年代にかけて、電子制御が発展途上であった時代には、多くの車種で採用されていました。
バキュームリミッターは、エンジンの吸入負圧を利用して、燃料供給を制限する仕組みでした。具体的には、エンジン回転数が設定値を超えると、吸気管内の負圧が変化し、その変化をダイヤフラムやピストンで感知して、燃料供給を断つ、もしくは絞ることで、出力の上昇を抑制していました。
しかし、1990年代に入ると、電子制御技術の進歩により、より精密で緻密な制御が可能になった「燃料カット」が登場します。燃料カットは、エンジン回転数やスロットル開度、車速などの情報をECU(エンジンコントロールユニット)で処理し、燃料噴射を電子的に制御することで、出力調整を行うシステムです。
燃料カットは、バキュームリミッターに比べて、レスポンスが良く、制御も細やかに行えるため、次第に主流となっていきました。また、燃費向上や排出ガス低減にも効果があることから、環境性能の向上という時代の要請にも合致していました。
こうして、バキュームリミッターは、燃料カットの登場によって、その役目を終え、衰退していくことになります。しかし、シンプルながらも確実なその仕組みは、現代の自動車技術においても、学ぶべき点が多いと言えるでしょう。
