車を知る：縁の下の力持ち「シリコーンオイル」

車を知る：縁の下の力持ち「シリコーンオイル」

シリコーンオイルとは？

車のエンジンルームを開けると、様々な部品が複雑に組み合わさっている様子に圧倒されるかもしれません。実は、これらの部品がスムーズに動くためには、「シリコーンオイル」と呼ばれる物質が欠かせません。しかし、その名前を耳にしても、一体どんなものなのか、具体的にどこで使われているのか、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか？

この章では、車にとって重要な役割を担う「シリコーンオイル」について、その特徴や用途などを詳しく解説していきます。

優れた特性：高温から低温まで

車をスムーズに走らせるために、様々な部品が組み合わさり、それぞれの役割を果たしています。その中には、あまり表舞台に出ることはありませんが、重要な役割を担う「縁の下の力持ち」的な存在も少なくありません。その一つが、「シリコーンオイル」です。

シリコーンオイルは、その名の通り、シリコーンを主成分とするオイルです。エンジンオイルやブレーキオイルなど、車には様々なオイルが使われていますが、シリコーンオイルは、それらとは異なる特性を持つため、特定の箇所で活躍しています。

その特性の中でも特に注目すべきなのが、「幅広い温度帯に対応できる」という点です。エンジンルーム内など、高温になる場所でも性能が劣化しにくく、寒冷地でも固まったりせず、安定した性能を発揮します。これは、過酷な環境で使用される車にとって、非常に重要な要素と言えるでしょう。

車における活躍：様々な場所で使われています

車を構成する様々な部品の中で、あまり目立つことはありませんが、重要な役割を担っているのが「シリコーンオイル」です。潤滑性や耐熱性、電気絶縁性など、多くの優れた特性を持つことから、車の様々な場所に活用され、快適で安全な走行を支えています。

例えば、窓ガラスをスムーズに開閉するために、パワーウィンドウのレギュレーター部分にシリコーンオイルが使われています。また、高温になるエンジンルームでも、その性能を維持できることから、ラジエーターホースや冷却水の凍結防止剤にも配合されています。さらに、ブレーキオイルやグリスにも、その優れた潤滑性と耐熱性を活かして利用されています。

このように、シリコーンオイルは、私たちが目にすることのないところで、車の性能維持に大きく貢献しているのです。

潤滑油としての弱点：鋼鉄には不向き

優れた特性を持つシリコーンオイルですが、万能というわけではありません。潤滑油として考えた場合、鉄鋼との相性が悪いという弱点があります。シリコーンオイルは鉄鋼に対して吸着力が弱く、薄い油膜しか形成できません。そのため、鉄鋼同士の摩擦を十分に軽減できず、摩耗や焼き付きを起こしてしまう可能性があります。この弱点を克服するために、添加剤を加えるなどの改良が行われていますが、それでも鉄鋼部品の潤滑には、一般的に鉱物油や合成油が使われています。

未来の車にも貢献：シリコーンオイルの可能性

電気自動車や自動運転技術など、車の技術革新が進む中、シリコーンオイルへの期待も高まっています。例えば、電気自動車のバッテリーの熱を逃がすための放熱材として、シリコーンオイルの熱伝導性の高さが注目されています。また、自動運転には様々なセンサーが使用されますが、センサーの誤作動を防ぐために、シリコーンオイルの撥水性や防汚性が役立ちます。さらに、軽量化が求められる電気自動車において、シリコーンオイルを配合した軽量な素材の開発も進んでいます。このように、シリコーンオイルは未来の車社会においても、その特性を生かして様々な場面で活躍することが期待されています。