クルマ開発の秘密兵器!グランドシミュレーションとは?

車を知りたい
先生、『グランドシミュレーション』って、自動車の開発でよく聞くんですけど、どんなものなんですか?

自動車研究家
いい質問だね!グランドシミュレーションは、風洞実験でより現実に近い空気の流れを再現するための技術だよ。風洞実験では車が止まったまま風を送るけど、実際は路面に対して車が動いているよね?その違いをなくすために、風洞の床部分を動かしたり、空気を吸い込んだりして、実際の走行状態を模擬するんだ。

車を知りたい
なるほど。風洞実験では車が止まっているから、実際の走行と空気の流れ方が違ってしまうんですね。それで、グランドシミュレーションで空気の流れ方を調整するんですね!

自動車研究家
その通り!グランドシミュレーションによって、より正確な空気抵抗や揚力などのデータを得ることができ、燃費向上や走行安定性の向上に役立つのだ。
グランドシミュレーションとは。
自動車の開発において重要な「グランドシミュレーション」とは、風洞実験において、実際の走行状態での車体底面への空気の流れを再現する技術のことです。
通常、風洞内では車両は静止しているため、路面に対する相対速度は生まれません。しかし実際には、走行する車両と路面の間には相対速度が生じ、これが車体底面の空気の流れに大きな影響を与えます。風洞実験のみでは、この影響を正確に再現できないため、車体底面付近の空気の流れは実際の走行状態とは異なり、特に後方の流れに大きな違いが生じます。その結果、風洞内で計測される空気抵抗などのデータは、実際の走行状態とはかけ離れたものとなってしまいます。
この問題を解決するために、グランドシミュレーションでは、風洞内の路面を模した部分を車両と同じ速度で動かす「ムービングベルト」を設置したり、路面付近の空気を吸い取ることで、実際の走行状態に近い空気の流れを再現します。
風洞実験の重要性と課題

自動車の開発において、空気抵抗を減らし、燃費や走行安定性を向上させることは至上命題です。そのために欠かせないのが、風洞実験です。風洞実験とは、実際にクルマの模型や実車に風を当て、空気の流れや抵抗を測定する実験のこと。風の力を可視化することで、デザインの改善点や空力特性の弱点を見つけ出すことができます。
しかし、風洞実験は莫大なコストと時間がかかるという課題も抱えています。巨大な施設と設備が必要となるため、実験費用は一回あたり数百万円から数千万円にものぼります。また、実験準備やデータ分析にも時間がかかるため、開発期間の短縮が求められる現代の自動車開発においては、大きな負担となっています。
グランドシミュレーション:実走行を風洞で再現

クルマの開発現場では、コンピューター上で仮想的に走行テストを行う「グランドシミュレーション」が近年注目を集めています。その中でも、風洞実験と組み合わせたグランドシミュレーションは、よりリアルな走行環境を再現できるため、空力性能の向上に大きく貢献しています。
従来の風洞実験では、静止した状態のクルマに風を当てていましたが、グランドシミュレーションでは、タイヤを回転させたり、路面を模擬したベルトコンベアを動かすことで、実際の走行状態に近い環境を作り出すことができます。これにより、より正確な空気抵抗や揚力、ダウンフォースなどのデータを取得することが可能になります。
さらに、グランドシミュレーションでは、様々な走行条件を設定することができます。例えば、速度、路面状況、横風など、様々な条件下でのクルマの挙動をシミュレーションすることで、より実走行に近い状態で空力性能を評価することができます。これは、従来の風洞実験では難しかった点であり、グランドシミュレーションの大きなメリットと言えるでしょう。
ムービングベルト方式:走行路面を再現

クルマの開発現場では、コンピューター上で仮想的に車両の動きを再現する「シミュレーション」が欠かせません。その中でも、実走行環境をより忠実に再現するのが「ムービングベルト方式」です。
従来のシミュレーションでは、タイヤの回転を模倣するだけで、実際の路面との摩擦や振動を再現することは困難でした。しかし、ムービングベルト方式では、車両の下に巨大なベルトを敷き詰め、実際にベルトを回転させることで、路面を再現します。
これにより、タイヤと路面の複雑な相互作用を、より現実に近い形で再現することが可能になります。例えば、路面の凹凸による振動、コーナリング時のタイヤの変形、ブレーキ時のタイヤロックなど、従来のシミュレーションでは難しかった現象も、高い精度で再現できるようになりました。
ムービングベルト方式は、車両の走行安定性や乗り心地、燃費性能の向上など、様々な開発に役立っています。さらに、自動運転技術の開発にも欠かせない技術として、その重要性はますます高まっています。
吸い込み方式:境界層制御による再現

クルマの周りの空気の流れは、抵抗や揚力といった走行性能に大きく影響します。しかし、この空気の流れは非常に複雑で、実車実験だけでは全てを把握し、改善するのは困難です。そこで登場するのが、コンピューター上でクルマ周りの空気の流れをシミュレーションする「グランドシミュレーション」です。
グランドシミュレーションにおいて、「吸い込み方式」は、クルマ表面に非常に近い空気の層「境界層」を正確に再現するための重要な技術です。境界層は空気抵抗や揚力に大きく影響しますが、その流れは複雑で再現が難しいとされています。吸い込み方式では、仮想的にクルマ表面から空気を吸い込むことで、境界層を制御し、より現実に近い空気の流れを再現します。これにより、従来の手法よりも高精度なシミュレーションが可能となり、空力性能の向上、燃費改善、走行安定性の向上などに貢献します。
グランドシミュレーションが切り拓く未来

グランドシミュレーションは、もはや単なる設計ツールではなく、未来のモビリティ社会を創造する力強いエンジンと言えます。
自動運転技術の進化、環境負荷の低減、交通事故ゼロ社会の実現など、クルマを取り巻く課題は山積していますが、グランドシミュレーションはこれらの解決に大きく貢献する可能性を秘めています。
例えば、膨大な量の走行データを仮想空間で再現することで、AIによる自動運転システムの学習を飛躍的に加速させることができます。
また、様々な材料や構造をシミュレーション上で試作することで、開発期間の短縮やコスト削減にも繋がるでしょう。
さらに、交通状況や天候などを加味した複雑なシミュレーションを行うことで、渋滞の緩和や事故リスクの予測など、より安全で快適な交通社会の実現に近づくことができます。
グランドシミュレーションは、クルマ開発の未来を大きく変え、私たちに豊かな暮らしをもたらす、まさに「夢の技術」と言えるでしょう。
