衝突安全の守護神?知られざる『固定バリア』の世界
車を知りたい
先生、「固定バリア」ってなんですか?自動車の衝突実験で使うみたいですが、よく分かりません。
自動車研究家
良い質問ですね。「固定バリア」とは、自動車の衝突実験で車体をぶつける、コンクリート製の壁のことです。 自動車の安全性を評価するために使われます。
車を知りたい
なるほど、コンクリートの壁なんですね。 大きさや重さは決まっているんですか?
自動車研究家
はい、大きさや重さは規格で決められています。 日本では高さ3m、幅4~5m、重量90~180tくらいの巨大な壁ですよ。国によって規格は異なりますが、安全性を評価するために、厳密に決められています。
固定バリアとは。
自動車の衝突実験で用いられる『固定バリア』とは、コンクリート製の不動の壁のことです。そのサイズは、日本では日本自動車規格JAS07104で高さ3m、横幅4~5m、重量90~180tと定められており、国内の衝突実験施設ではこの規格に沿ったバリアが使用されています。アメリカやECE(欧州経済委員会)では、それぞれSAE規格、ECE規格によってサイズが規定されています。衝突面の形状は、平面、斜め、球形など、実験の内容に応じて様々なものが使われます。固定バリアは主に前面衝突試験に用いられ、後面や側面の衝突実験で使用されることはほとんどありません。
自動車衝突実験の定番『固定バリア』とは?
テレビやインターネットで、自動車がものすごい勢いで壁に衝突する映像を見たことはありませんか? あれは、衝突時の車の安全性を評価する「衝突実験」の様子です。そして、実験で車を受け止めているあの強靭な壁こそが「固定バリア」です。
固定バリアは、一見ただの分厚い壁のように見えますが、実は緻密な設計と高度な技術によって作られた、衝突実験には欠かせない重要な装置なのです。今回は、そんな縁の下の力持ちである「固定バリア」の世界に迫ってみましょう。
JAS規格が定める『固定バリア』の姿
自動車の衝突安全性能試験。誰もが一度は目にしたことがある衝撃的な映像の裏側には、安全性を厳格に測定するための様々な規格や基準、そしてそれを支える縁の下の力持ちとも言うべき試験設備が存在します。その中でも今回は、衝突時の衝撃を正確に受け止める「固定バリア」に着目してみましょう。
JAS規格とは、Japanese Industrial Standardsの略称で、日本国内における工業製品の品質や性能などを統一するための規格です。もちろん、固定バリアもこの規格の適用を受け、その形状や材質、設置方法などが細かく定められています。
例えば、前面衝突試験に用いられる固定バリアは、衝突する車両の重量や速度に合わせて設計されています。これは、衝突時のエネルギーを適切に吸収し、車両や乗員への影響を正確に測定するために非常に重要です。また、材質についても、コンクリートや鋼材など、高い強度と耐久性を備えたものが採用され、繰り返し行われる試験にも耐えうる構造となっています。
このように、JAS規格に準拠した固定バリアは、衝突安全性能試験において欠かせない存在と言えるでしょう。普段目にする機会は少ないかもしれませんが、私たちが安全な車社会を享受できる裏には、こうした技術の積み重ねがあることを忘れてはなりません。
平面だけじゃない!様々な形状の『固定バリア』
私たちが安全に車を運転できる裏側には、様々な衝突安全技術が存在します。その中でも、今回はあまり知られていない「固定バリア」の世界に焦点を当ててみましょう。皆さんは「固定バリア」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?おそらく多くの方が、高速道路の脇などに設置された、コンクリート製の壁を想像するのではないでしょうか。
確かに、それらは固定バリアの代表的な例ですが、実は固定バリアは平面の壁だけではありません。状況や目的に応じて、曲面を持つものや、ハニカム構造を取り入れたものなど、多種多様な形状の固定バリアが開発されているのです。例えば、カーブの多い山道では、衝突時の衝撃を吸収し、車両を安全に停止させるために、衝撃吸収性に優れたドラム型の固定バリアが設置されていることがあります。また、最近では、環境への配慮から、植物を植栽できるブロック型の固定バリアなども登場しており、景観と安全性を両立させる試みも進められています。このように、固定バリアは、私たちの安全を守るために、日々進化を続けているのです。
世界基準?アメリカ・ECE規格との違い
自動車の安全性評価には欠かせない衝突試験。その裏舞台で活躍するのが、頑丈な壁として立ちはだかる「固定バリア」です。実はこの固定バリア、世界共通ではなく、国や地域によって規格が微妙に異なります。
例えば、衝突安全で世界をリードするアメリカの規格では、実際の事故状況をより忠実に再現するため、バリアの表面に凹凸を設け、衝突時の衝撃を複雑化させています。一方、ヨーロッパを中心に採用されているECE規格では、よりシンプルな形状の固定バリアを使用しています。これは、試験結果の再現性を高め、データの分析を容易にすることを目的としています。
このように、一見同じように見える固定バリアにも、それぞれの規格に込められた設計思想の違いが見て取れます。日本も独自の安全基準を設けていますが、国際的な整合性を考慮し、ECE規格を参考にしている部分が多く見られます。
安全性能向上に欠かせない『固定バリア』の役割
自動車の安全性能において、衝突安全性は最も重要な要素の一つです。私たちが安全な車社会を実現するために、目に見えないところで活躍しているのが「固定バリア」です。 固定バリアとは、自動車の衝突実験において、衝突対象物として用いられる構造物のことを指します。まるで守護神の如く、私たちに代わって衝撃を受け止め、その安全性を評価するための重要な役割を担っています。
固定バリアは、材質や形状、重量などが厳密に規定されており、衝突時の衝撃吸収性能や車両挙動を安定させる役割を担っています。 自動車メーカーは、開発段階から様々な条件下で衝突実験を繰り返し、そのデータを基にエアバッグやシートベルトなどの安全装置の開発やボディ構造の設計に反映させています。
固定バリアは、衝突実験の度に大きなダメージを受けますが、その度に詳細な分析が行われます。その分析結果が、より安全な車を作るための貴重なデータとなり、私たちの安全な暮らしに繋がっているのです。