五感を研ぎ澄ます-クルマ開発の要「実車官能試験」

車を知りたい
先生、「実車官能試験」って、人間の感覚を使うって書いてあるけど、普通のテストと何が違うんですか?

自動車研究家
いい質問だね!普通のテストは、例えば速度や燃費など、数字で測れるものを調べるよね。でも、乗り心地の良さとか、運転のしやすさって、数字では表しにくいよね?

車を知りたい
あー、確かに!

自動車研究家
そうなんだ。だから「実車官能試験」では、実際に人が乗って、運転して、五感を使いながら評価するんだよ。乗り心地が「良い」か「悪い」か、運転が「しやすい」か「しにくい」か、といった感じでね。
実車官能試験とは。
「実車官能試験」とは、自動車を実際に人が体感し、五感を用いて評価する試験のことです。数値で表すことが難しい「乗り心地」「運転のしやすさ」「質感」といった、感覚的な評価項目に適しています。 例えば、車の総合的な魅力、競合車との比較、使い勝手、運転の感覚などを評価する際に有効です。 操作力や反応速度、乗り心地の良さなど、数値化はできても、最適な状態が感覚的に決まる項目の評価にも向いています。 一方、評価する人の感覚に左右されるため、試験環境や条件によって結果がばらつく可能性もあります。そのため、評価を行う人選、人数、場所、比較対象となる車、評価基準などを事前に明確に決めておく必要があります。 評価の基準となるレイティング、評価シート、データの処理方法なども、目的に応じて適切に準備しておくことが重要です。
「実車官能試験」とは何か?

「良いクルマ」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?スタイリングの良さ、環境性能、燃費性能など、様々な要素が考えられます。しかし、どんなに時代のニーズに合致していても、実際に人が運転して「良い」と感じられなければ、それは本当に良いクルマとは言えません。そこで重要となるのが「実車官能試験」です。これは、開発中のクルマに実際に人が乗り込み、五感をフル活用して評価を行うことで、数値化できない「感覚的な良さ」を追求する開発プロセスにおいて、非常に重要な役割を担っています。
官能評価が求められる理由

自動車開発において、数値化できない人間の感覚を評価する「官能評価」は非常に重要です。なぜなら、クルマは単なる移動手段ではなく、乗る人の五感を刺激し、喜びや快適さ、さらには感動までも提供する存在だからです。
滑らかで力強い加速感、心地よいエンジン音、しっとりとしたシートの感触、車内空間に漂う新車の香りなど、数値では測れない感覚的な要素が、ユーザーの購買意欲を大きく左右します。官能評価は、こうした人間の感性という複雑な要素を分析し、製品に反映させることで、ユーザーの心を掴むクルマを生み出すために欠かせないプロセスなのです。
実車官能試験の具体的な内容

実車官能試験とは、実際に試作車を走行させ、人間の五感を用いて乗り心地や快適性、操作性などを評価する試験です。具体的には、走行性能、静粛性、振動、操作性、居住性など、多岐にわたる項目を評価します。
走行性能の評価では、加速、減速、ハンドリング、乗り心地などを、様々な路面状況や速度域で評価します。静粛性の評価では、エンジン音、ロードノイズ、風切り音などを測定し、車内の静かさを評価します。振動の評価では、路面からの振動やエンジンによる振動が、乗員に不快感を与えないかを評価します。
操作性の評価では、アクセルペダルやブレーキペダル、ステアリングなどの操作感触が、ドライバーにとって自然で操作しやすいかを評価します。居住性の評価では、室内空間の広さやシートの快適性、視界の良さなどを評価します。
これらの評価は、熟練した評価ドライバーやエンジニアによって、運転操作や同乗時の感覚を数値化したり、具体的な言葉で記録されます。得られた評価結果は、開発車両の改善点を見つけ出すために活用されます。
実車官能試験のメリット・デメリット

実車官能試験は、人間の感覚という複雑な要素を取り扱うため、メリットと同時にいくつかのデメリットも存在します。
最大のメリットは、数値化が難しい快適性や操作性といった、人間の感覚に直接訴えかける性能を評価できる点です。騒音や振動の大きさ、アクセル操作に対する反応など、数値化しにくい感覚的な部分を評価することで、ユーザーの感性に響くクルマ作りが可能となります。
一方、デメリットとしては、評価者の主観に左右されやすい点が挙げられます。個人差をなくすために、統計的な処理や評価基準の設定などが重要となりますが、完全に客観性を保つことは難しいと言えます。また、試験には時間と費用がかかることも課題です。実車を用意し、さまざまな条件下で試験を行う必要があるため、開発期間の短縮やコスト削減が求められる現代においては、効率的な試験計画が重要となります。
客観性を担保するために

人間の感覚は主観的なものであり、個人差が大きいものです。しかし、クルマの乗り心地や操作感といった官能性能は、まさにこの人間の感覚によって評価されるものです。そこで重要になるのが、いかに客観的な評価指標と評価環境を構築するかという点です。
官能試験では、評価項目を数値化し、評価基準を明確にすることで、評価のばらつきを抑制します。例えば、「静粛性」という項目一つとっても、「ロードノイズの大きさ」や「エンジン音の高さ」、「風切り音の発生頻度」など、様々な評価指標が設定されます。
さらに、評価環境にも配慮が必要です。温度や湿度、日照条件などが異なれば、人間の感覚も変化してしまうため、試験は専用の施設で行われることが一般的です。また、評価を行うドライバーの運転スキルや体調、年齢層なども考慮し、複数人で評価を行うことで、より客観的なデータを集約していきます。
