クルマの動きを支える!固定式等速ジョイントの仕組み

クルマの動きを支える!固定式等速ジョイントの仕組み

車を知りたい

先生、「固定式等速ジョイント」って、普通のジョイントと何が違うんですか?

自動車研究家

良い質問だね!普通のジョイントは角度が変わると回転速度が変わってしまうことがあるんだけど、「固定式等速ジョイント」は角度が変わっても回転速度が一定に保たれるんだ。だから「等速」ジョイントって呼ばれているんだよ。

車を知りたい

へえー!すごいですね!なんで回転速度を一定に保つ必要があるんですか?

自動車研究家

回転速度が一定じゃないと、車がスムーズに曲がれなくなったり、振動が大きくなってしまうんだ。特に前輪駆動車の前輪は steering で大きく角度が変わるから、「固定式等速ジョイント」が使われているんだよ。

固定式等速ジョイントとは。

「固定式等速ジョイント」とは、自動車の駆動力を伝えるための部品である「等速ジョイント」の一種で、軸方向への伸縮機能を持たないものを指します。代表的なものとして、ダブルカルダン型、ツェッパ型、固定式トリポード型などが挙げられます。主に前輪駆動車において、ドライブシャフトの車輪側に用いられます。前輪は40度以上ハンドルを切ることがあるため、固定式等速ジョイントには、それだけの角度に対応できるだけの屈曲性と、その角度でも回転速度を一定に保つための等速性が求められます。等速性を確保するために、ジョイント内部のボールやローラーなどの接点は、常に駆動軸と従動軸の角度の二等分線上に位置するように設計されています。また、大きな角度での屈曲を実現するには、ジョイント内部の部品同士の干渉を防ぐ対策や、異物混入を防ぐためのダストブーツの耐久性を高める対策が必要です。特に、ジョイントの寿命はダストブーツの破損に大きく左右されるため、ブーツの形状を工夫することで屈曲疲労に対する耐久性を向上させています。

等速ジョイントとは?

等速ジョイントとは?

クルマがスムーズに走るためには、エンジンが生み出す回転をタイヤに伝える必要があります。しかし、エンジンとタイヤの位置関係は走行中に常に変化するため、単なる軸だけでは回転を正確に伝えることができません。そこで活躍するのが「等速ジョイント」です。

等速ジョイントは、角度や長さの変化を吸収しながら、入力側と出力側で同じ速度で回転を伝えることができる機構です。

固定式等速ジョイントの特徴

固定式等速ジョイントの特徴

固定式等速ジョイントは、その名の通り駆動軸の角度が変化しても回転速度を一定に保つジョイントです。主な特徴としては、
1. 構造がシンプルであるため、製造コストが低い点が挙げられます。
2. また、コンパクトに設計できるため、車体への搭載性にも優れています。
これらの特徴から、固定式等速ジョイントは、主にFF車FFベースの4WD車の前輪駆動軸などに広く採用されています。

種類と構造:ダブルカルダン型、ツェッパ型、トリポード型

種類と構造:ダブルカルダン型、ツェッパ型、トリポード型

クルマのスムーズな走行を支える、縁の下の力持ちともいえる「固定式等速ジョイント」。その中でも代表的な3つの種類、「ダブルカルダン型」「ツェッパ型」「トリポード型」について、それぞれの構造と特徴を詳しく見ていきましょう。

まず、「ダブルカルダン型」は、2つのカルダンジョイントを組み合わせた構造が特徴です。コンパクトに設計できるため、FF車のドライブシャフトに広く採用されています。しかし、角度が大きくなると回転変動が生じやすいという側面も持ち合わせています。

次に、「ツェッパ型」は、球状のハウジング内部に、溝が彫られた球と、それを挟み込むように配置された6つの鋼球によって構成されています。高い耐久性と大きな角度への対応が強みですが、他のタイプと比べて大型になりやすい点が挙げられます。主にFR車の後輪駆動部分などに用いられています。

最後に「トリポード型」は、3つのローラーベアリングを備えた構造が特徴で、製造コストの低さが魅力です。FF車の駆動輪側によく用いられますが、回転方向による回転変動の差が大きいという側面もあります。

このように、それぞれの固定式等速ジョイントは、異なる構造と特徴を持っています。採用される箇所や車種によって、最適なタイプが選択されていると言えるでしょう。

大きな屈曲角を実現するための工夫

大きな屈曲角を実現するための工夫

固定式等速ジョイントは、コンパクトな構造ながら大きな角度でタイヤを動かすことが求められます。これを可能にするために、いくつかの工夫が凝らされています。

まず、ジョイント内部には、複数のベアリングが組み込まれています。これらのベアリングは、ドライブシャフトからの回転を滑らかにタイヤに伝える役割を担っています。さらに、ベアリングの外輪には溝が設けられ、この溝にジョイントハウジングの突起がはまることで、大きな角度での回転を可能にしています。

また、ジョイント内部には、グリースが封入されています。グリースは潤滑の役割を果たし、ベアリングの摩耗や発熱を抑え、スムーズな動きを維持します。これらの工夫により、固定式等速ジョイントは、過酷な環境下でも高い信頼性と耐久性を発揮します。

寿命を左右するダストブーツの重要性

寿命を左右するダストブーツの重要性

クルマのスムーズな走行を陰で支える、縁の下の力持ちともいえる固定式等速ジョイント。その心臓部ともいえるベアリングを保護するのが、ダストブーツです。このゴム製のカバーは、外部からの塵や水分の侵入を防ぎ、ベアリングの摩耗や損傷を抑制する重要な役割を担っています。

ダストブーツが破損すると、内部に異物や水分が入り込み、グリスの劣化やベアリングの錆・摩耗を加速させてしまいます。その結果、異音や振動の発生、最悪の場合には走行不能に陥ることも。日頃からダストブーツの状態をチェックし、ひび割れや損傷があれば、速やかに交換することが大切です。

定期的な点検と早めの交換が、固定式等速ジョイント、ひいてはクルマ全体の寿命を延ばすことにつながります。愛車の安全で快適な走行のために、ダストブーツの存在と役割を意識しておきましょう。

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