時代遅れの排出ガス試験「9モード」とは?

時代遅れの排出ガス試験「9モード」とは?

車を知りたい

先生、「9モード」ってなんですか?自動車の用語らしいんですけど、よく分からなくて。

自動車研究家

「9モード」は、昔アメリカやオーストラリアで使われていた、車の排気ガスに関する試験方法だよ。簡単に言うと、車を特定の条件で走らせた時に、どれくらい汚染物質を出すかを測るものなんだ。

車を知りたい

へえー。でも、なんで「9」なんですか?

自動車研究家

それはね、試験で使われる車の運転パターンが9種類あったからなんだ。今はもう使われていないんだけど、昔はこの方法で排気ガスの規制をしていたんだよ。

9モードとは。

「9モード」とは、かつてアメリカとオーストラリアで用いられていた、大型トラックやバスの排出ガス量を測る試験方法です。この試験は、エンジンを9つの異なる定常状態運転させて、一酸化炭素、炭化水素、窒素酸化物などの排出量を測定し、g/bhpで表します。しかし、この方法は1983年以前に採用されていたもので、現在はより実際の走行状態に近い過渡モード試験に取って代わられています。

自動車排出ガス規制の歴史

自動車排出ガス規制の歴史

自動車の排出ガス規制は、1960年代後半、深刻化する大気汚染への対策として始まりました。日本では、1968年に制定された「大気汚染防止法」に基づき、1970年代から本格的な排出ガス規制が導入されました。当初は、一定速度で走行する「10モード」と呼ばれる試験方法で排出ガス量を測定し、規制値をクリアする必要がありました。その後、規制強化や技術革新に合わせて、より実際の走行状況に近い試験方法へと進化していきます。

9モード試験とは何か?

9モード試験とは何か?

自動車の排出ガス規制は、年々厳しくなってきています。かつて日本で採用されていた排出ガス試験方法に「10・15モード試験」と呼ばれるものがありました。これは、実際の走行状態を想定した10種類の走行モードと、それらを組み合わせた15種類の運転パターンで排出ガスを測定する方法でした。10・15モード試験は、1973年から2000年まで、約30年間にわたって使用されてきました。

しかし、10・15モード試験は、実際の走行状態と比較して速度変化が少なく、停車時間が短いなど、実態に合っていないという指摘がありました。そこで、2000年からは、より実際の走行状態に近い「JC08モード試験」が導入されました。

さらに、2018年からは、国際的に harmonized Light vehicles Test Cycle (WLTC) が導入され、日本でも2020年から採用されています。

9モード試験は、10・15モード試験の前身となった試験方法で、1969年から1973年まで実施されていました。9つのモードで構成されていることから「9モード試験」と呼ばれていました。

9モード試験は、10・15モード試験と同様に、実際の走行状態と乖離があったため、より厳しい排出ガス規制に対応するために、10・15モード試験へと移行しました。

9モード試験の問題点

9モード試験の問題点

9モード試験は、実験室内のシャーシダイナモ上で車両を走行させ、排出ガスを測定する方法でした。しかし、この試験方法には、実際の走行状態と大きく乖離しているという大きな問題点がありました。

具体的には、加速や減速の頻度、勾配、渋滞などの要素が、実際の道路状況と比較して、単純化あるいは省略されていました。そのため、9モード試験では排出ガス規制をクリアしていても、実際の走行状態では、はるかに多くの排出ガスを排出してしまうケースが見られました。この乖離が、より現実的な排出ガス計測の必要性を高め、新たな試験方法の導入へと繋がっていったのです。

現在の排出ガス試験方法

現在の排出ガス試験方法

かつて日本では「10・15モード」や「JC08モード」といった排出ガス試験方法が用いられていましたが、世界的な流れに合わせて、現在ではより実走行に近い「WLTCモード」という試験方法が導入されています。WLTCモードは、市街地、郊外、高速道路といった多様な走行条件を想定し、より現実的な排出ガス量を測定することができます。これにより、燃費性能の向上や排出ガス規制への適合などが進み、地球環境への負荷軽減に貢献しています。

よりクリーンな未来に向けて

よりクリーンな未来に向けて

自動車業界は、よりクリーンで持続可能な未来に向けて急速に変化しています。世界中で排出ガス規制が強化される中、自動車メーカーは、環境への影響を最小限に抑える技術の開発に追われています。こうした中、かつて世界中で広く採用されていた排出ガス試験「9モード」は、その役目を終えようとしています。9モードは、実際の走行状態を十分に反映していないという批判を受け、より厳格で現実的な試験方法に取って代わられつつあるのです。

9モードに代わる新しい試験方法の導入は、自動車業界にとって大きな転換期を迎えていることを示しています。自動車メーカーは、将来を見据え、よりクリーンなモビリティ社会の実現に向けて、技術革新を加速させていく必要があります。

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