車両運動性能

設計に関する用語

クルマづくりの裏側:開発試験車の重要性

私たちが普段目にする、スタイリッシュで快適なクルマたち。その裏側には、実は想像を絶するような長い開発期間と、数えきれないほどの試行錯誤が隠されています。そして、その過程で中心的な役割を担うのが「開発試験車」です。 開発試験車とは、簡単に言えば、新しいクルマを開発する過程で製作される試作車のことです。まだデザインも性能も未完成な段階から、改良に改良を重ねて製品化へと近づいていく、言わばクルマづくりの過程そのものを体現した存在と言えるでしょう。 開発試験車は、大きく分けて走行性能や耐久性をテストするためのものと、デザインや機能性を評価するためのものの2つに分けられます。いずれも、実際に人が運転して使用感を確かめたり、時には過酷な環境にさらしたりすることで、設計上の問題点や改善点を洗い出すために利用されます。 つまり、開発試験車は、私たちが最終的に目にする完成車になる前の、いわば「試作品」なのです。しかし、単なる試作品ではなく、その1台1台に、エンジニアたちの飽くなき挑戦と、未来のクルマ社会への熱い想いが込められているのです。
性能に関する用語

車の安定性に関わる「セルフアライニングトルク」とは?

セルフアライニングトルク(SAT)とは、タイヤが回転しようとするときに発生する、タイヤを元の位置に戻そうとする力のことを指します。 別の言い方をすれば、ハンドルを切った後、手を離しても車が直進状態に戻ろうとする力とも言えます。この力は、タイヤの構造や材質、路面との摩擦などによって変化します。
設計に関する用語

車の安定性に関わる「スタティックマージン」とは?

スタティックマージン(SM)とは、車両の横転に対する抵抗力を示す指標です。具体的には、車両の重心位置とタイヤの接地点の関係から算出されます。この数値が大きいほど、車両は横転しにくく、安定性が高いと言えます。
性能に関する用語

クルマの動きを決める「ホイールレート」とは?

クルマのサスペンションは、単に路面の凹凸を吸収するためだけのものではありません。路面からの入力に対して、どのようにタイヤを動かすか、つまりクルマの姿勢をどのように変化させるかを決定づける、重要な役割を担っています。 そのサスペンションの性能を語る上で欠かせない指標となるのが「ホイールレート」です。 ホイールレートとは、サスペンションが1mm縮んだり伸びたりする際に、タイヤにかかる荷重がどれだけ変化するかを表す数値です。単位はN/mmで表され、この数値が大きければ硬いサスペンション、小さければ柔らかいサスペンションと言えます。 ホイールレートは、スプリングの硬さだけでなく、サスペンションジオメトリーや、レバー比なども影響するため、単純にスプリングの硬さだけで判断することはできません。このホイールレートを調整することで、クルマの乗り心地やハンドリング特性を大きく変えることができます。
設計に関する用語

ハンドルの復元性:クルマの安定走行を支える力

車を運転する時、何気なくハンドルを回していますが、ハンドルから手を離すと、自然と元の位置に戻ろうとする力を感じたことはありませんか?これが「ハンドルの復元性」です。この一見当たり前に思える現象は、安全で快適なドライブを支える、とても重要なメカニズムなのです。