車両の走行抵抗を再現!等価慣性重量とは?

車を知りたい
先生、「車両等価慣性重量」ってなんですか? 車の重さと同じじゃないんですか?

自動車研究家
いい質問だね! 実は、ただ車重を測るだけだと、実際の走行時の抵抗を正確に再現できないんだ。そこで「車両等価慣性重量」というものが使われるんだよ。

車を知りたい
実際の走行時の抵抗…ですか?

自動車研究家
そう。例えば、車を加速したり減速したりする時、重さ以外にも、タイヤの摩擦や空気抵抗といった要素が影響するよね? これらの要素を考慮して、より実際に近い形で走行抵抗を再現するために、車両重量に調整を加えたものが「車両等価慣性重量」なんだよ。
車両等価慣性重量とは。
「車両等価慣性重量」とは、自動車の排出ガス試験などに使われるシャシーダイナモメーター(CDY)で、実際の走行抵抗を再現するためにローラーに設定する重量のことです。これは、クルマの重さによって異なる加減速時の慣性抵抗を、CDY上で再現するために行われます。
日本では、試験車重量(空車重量に110kgを足した重さ)に応じて、等価慣性重量は段階的に設定されます。具体的には、500kgまでは125kgごと、1000kgまでは250kgごと、3000kg以上は500kgごとに設定されます。例えば、試験車重量が1376kgから1625kgのクルマであれば、1500kgの等価慣性重量をCDYに設定してモード運転を行います。
車両等価慣性重量とは?

車両の運動エネルギーは、車両の質量と速度によって決まります。しかし、実際の車両は、タイヤの回転やエンジン、トランスミッションなどの回転部分も運動エネルギーを持っています。これらの回転部分の運動エネルギーを考慮し、車両の運動をより正確に表現するために用いられるのが-車両等価慣性重量-です。
これは、回転部分の運動エネルギーを等価な車両の質量に換算したものであり、車両の加速や減速、登坂などの運動を解析する上で重要な指標となります。
シャシーダイナモメーターと走行抵抗の関係

シャシーダイナモメーターは、実走行を模擬して車両の性能を測定する装置ですが、実際の道路を走行するわけではありません。そのため、空気抵抗や路面抵抗など、走行中に車両に掛かる抵抗を直接測定することはできません。そこで登場するのが「等価慣性重量」という概念です。
等価慣性重量とは、シャシーダイナモメーターのローラーの回転慣性を増加させることで、実際の走行抵抗を模擬する技術です。車両の重量に加えて、この等価慣性重量を考慮することで、より現実的な走行状態を再現し、正確な性能測定が可能になります。
等価慣性重量の決め方

等価慣性重量を決定する際には、実際の車両を用いた走行実験が欠かせません。まず、平坦な路面を一定速度で走行する車両の駆動力を計測します。この駆動力は、車両が走行する際に受ける空気抵抗やタイヤの転がり抵抗などの走行抵抗と釣り合っています。次に、計測した駆動力と同じだけの力を発生させて、惰性走行中の車両を減速させます。この時の減速度から、運動方程式を用いて等価慣性重量を算出します。
日本における等価慣性重量のランク分け

自動車の燃費基準には、車両重量だけでなく、走行抵抗も考慮した「等価慣性重量」という指標が用いられます。これは、車両重量に一定の係数を掛け合わせることで、加速抵抗を勘案した重量を算出するものです。
日本では、この等価慣性重量に基づいて、燃費基準を達成するために求められる性能が異なる車両のクラス分けが行われています。具体的には、軽自動車から大型車まで、車両重量や排気量に応じて13段階のランクに分けられています。
このランク分けは、車両の開発や燃費性能の評価において重要な役割を担っており、より公平で実態に即した燃費基準の運用を可能にしています。
等価慣性重量が排出ガス試験に与える影響

自動車の排出ガス試験では、実際に道路を走行している状態を試験室内で再現する必要があります。この際、車両の重量だけでなく、タイヤの回転抵抗や空気抵抗など、走行中に生じる様々な抵抗も考慮する必要があります。これらの抵抗をまとめて車両の慣性力に変換し、試験装置に設定する値が「等価慣性重量」です。
等価慣性重量の設定が適切でないと、実際の走行状態と試験装置でのシミュレーション結果に差異が生じ、排出ガス量の測定値に影響を及ぼす可能性があります。例えば、等価慣性重量が過剰に設定されると、車両は実際よりも重い負荷を受けて走行することになり、エンジン回転数が上昇しやすくなります。その結果、排出ガス、特に燃費が悪化する方向に測定結果が偏ってしまう可能性があります。 正確な排出ガス量を測定し、環境への影響を正しく評価するためには、車両の走行抵抗を正確に反映した等価慣性重量を設定することが非常に重要です。
