ディーゼルエンジンの「渦流室式」とは?仕組みとメリット・デメリット

車を知りたい
先生、「渦流室式燃焼室」って、普通のディーゼルエンジンの燃焼室とどう違うんですか?

自動車研究家
良い質問だね!普通のディーゼルエンジンは、ピストンが上死点に達した時にできる空間が燃焼室だよね。渦流室式は、その主燃焼室に加えて、シリンダーヘッド部に渦巻き状の部屋がもう一つあるんだ。これが「渦流室」だよ。

車を知りたい
へえー、渦巻き状の部屋ですか? なんでそんな形になっているんですか?

自動車研究家
それはね、渦巻き状にすることで空気を強制的に回転させて、渦を作るんだ。そこに燃料を噴射することで、空気と燃料が良く混ざって、効率的に燃焼させることができるんだよ。
渦流室式燃焼室とは。
「渦流室式燃焼室」とは、ディーゼルエンジンで使われる燃焼室の一種です。この方式では、メインの燃焼室とは別に、シリンダーヘッド部分に渦を発生させるための部屋(渦流室)が設けられています。エンジン内部でピストンが上昇する圧縮行程の間、この渦流室の中で空気が強制的に渦巻状に回転させられます。そして、燃料噴射弁から燃料が渦の中に噴射され、そこで大部分が燃焼します。燃え残った燃料はメインの燃焼室へと流れ込み、完全に燃焼します。渦流室式は、ある程度自由に燃焼をコントロールできるというメリットがあり、以前は乗用車や小型トラックのディーゼルエンジンで広く採用されていました。しかし、燃費性能では直接噴射式に劣るため、現在では主流ではなくなりつつあります。なお、渦流室には、エンジンの始動性を向上させたり、ディーゼルエンジン特有のノッキング音の発生を抑えたりするための予熱装置が取り付けられることがあります。渦流室の容積は、燃焼室全体の50~80%程度に設定されています。
ディーゼルエンジンの燃焼方式の種類

ディーゼルエンジンには、空気と燃料をいかに効率よく混合し、燃焼させるかという点で、いくつかの方式があります。大きく分けると、「直接噴射式」と「間接噴射式」の2つに分類されます。
直接噴射式は、その名の通り燃料を燃焼室に直接噴射する方式です。一方、間接噴射式は、燃焼室とは別に設けられた「副室」に燃料を噴射する方式です。
この間接噴射式の中に、「渦流室式」と呼ばれる方式が存在します。
本稿で詳しく解説していく「渦流室式」は、副室である渦流室の形状や噴射の工夫によって、効率的な燃焼を実現するディーゼルエンジン独自の技術なのです。
渦流室式燃焼室の仕組み

ディーゼルエンジンにおいて、効率的な燃焼を実現するために様々な燃焼室の形状が開発されてきました。その中でも「渦流室式」は、その名の通り燃焼室とは別に設けられた「渦流室」と呼ばれる空間が特徴です。
燃料噴射ノズルから噴射された燃料は、まずこの渦流室へと送られます。渦流室は、その形状と吸気ポートからの空気の流れによって、燃料と空気を激しくかき混ぜ、強力な渦を発生させるように設計されています。これにより、燃料は空気と均一に混合され、燃焼効率が向上するのです。
渦流室式燃焼室のメリット

渦流室式ディーゼルエンジンは、その構造上の特徴から、いくつかのメリットがあります。まず、燃焼室が副室と主室に分かれていることで、燃料と空気が効率的に混合されます。渦流室で燃料が燃焼する際、高温・高圧のガスが主室へと噴出することで、主室内の燃料も効率的に燃焼します。このため、燃焼効率が高く、燃費が良いというメリットがあります。また、燃焼が緩やかに進むため、騒音や振動が少なく、静粛性が高い点もメリットとして挙げられます。
渦流室式燃焼室のデメリット

渦流室式は、構造が複雑になるため部品点数が増え、どうしても製造コストが高くなってしまうというデメリットがあります。また、副燃焼室での熱損失が大きいため、熱効率の面では直接噴射式に劣る点も挙げられます。さらに、燃焼速度が遅いため、出力や回転数が低い傾向にあり、騒音が大きくなるといったデメリットも抱えています。
渦流室式燃焼室のこれから

かつてディーゼルエンジンにおいて主流を占めていた渦流室式燃焼室ですが、環境規制の強化や電子制御技術の進歩により、現在ではその姿を減らしつつあります。しかし、近年注目されているのが、小型で高出力化が可能という渦流室式のメリットを活かしたハイブリッドエンジンです。
ハイブリッドシステムにおいては、エンジンが稼働するのは発電時や高負荷時がメインとなり、従来の課題であった燃費性能の悪化や排ガス浄化の難しさといった問題点が解消されやすくなると期待されています。
また、バイオディーゼル燃料やPKS(パーム椰子殻)など、新たな燃料への対応という面でも、渦流室式の特性が活かせる可能性があります。これらの燃料は、従来のディーゼル燃料に比べて着火性が悪いという特徴がありますが、渦流室式は燃焼室内に高温の空気を溜め込むことができるため、着火性を改善できる可能性があります。
このように、渦流室式燃焼室は、最新の技術と融合することで、再び脚光を浴びる可能性を秘めています。
