勝敗を分ける「後流渦」の科学

車を知りたい
先生、「トレーリングボルテックス」ってなんですか? 車の後にある渦巻きのことですか?

自動車研究家
そうだね! 正確には、車が走るときにその後ろにできる空気の渦巻きのことだよ。特に、後ろに向かって細くなる形(ウエッジシェイプ)の車だと、渦ができやすいんだ。

車を知りたい
そうなんですね。渦巻きがあると何かマズいことってあるんですか?

自動車研究家
いい質問だね! 渦巻きがあると、車を前に進もうとする力を邪魔する「抗力」っていうものが大きくなってしまうんだ。だから、燃費が悪くなったりするんだよ。逆にレーシングカーでは、この渦をわざと大きくして、別の力を利用しているんだ。
トレーリングボルテックスとは。
自動車用語で「トレーリングボルテックス」と呼ばれる現象は、車体後方に発生する空気の渦「後流渦」のことです。特に、くさび形をした「ウエッジシェイプ」の車体後端では、この渦が顕著に発生しやすく、大きな空気抵抗を生み出してしまいます。この空気抵抗を軽減するために、水滴のような形状の「涙滴型ボディ」が考案されました。しかし、レースの世界では空気抵抗よりも車体を地面に押し付ける力「揚力」を減らすことの方が重要視されるため、後流渦はむしろ大きくなる傾向にあります。この後流渦を利用して、レース展開に変化をもたらすテクニック「スリップストリーム」などが生まれました。
空気抵抗を生む「後流渦」とは?

レースや競技の世界では、コンマ一秒、ミリ単位の差が勝敗を分けることがあります。そして、その僅差を生み出す要因の一つに「後流渦」と呼ばれる現象が存在します。 後流渦とは、車が走行する際に、空気抵抗によって車体の後方に発生する渦状の空気の流れのことです。
この後流渦、実はレースにおいて非常に重要な意味を持ちます。なぜなら、後流渦は空気の流れを乱し、後方を走る車にとって大きな空気抵抗となってしまうからです。特に、コーナーを抜けた直後などは、先頭車が作った大きな後流渦に巻き込まれることで、後続車は加速が鈍り、順位争いで不利になってしまうのです。
涙滴型ボディと後流渦の関係

スポーツカーや航空機、そして水中を進む魚など、流線型の美しいフォルムを持つものには、実は共通の秘密が隠されています。それは、「後流渦」と呼ばれる、物体後方に発生する渦の動きを最小限に抑えるための工夫です。
特に「涙滴型ボディ」と呼ばれる、涙のしずくを逆さにしたような形状は、後流渦の発生を抑制する上で非常に優れた形状です。物体後方の断面積を徐々に小さくすることで、気流や水流の剥離を抑え、抵抗の少ないスムーズな流れを生み出すことができるのです。
例えば、レーシングカーにおいて、後流渦は空気抵抗を増大させ、加速や最高速度を低下させる要因となります。しかし、涙滴型ボディを採用することで、後流渦の発生を最小限に抑え、空気抵抗の低減を実現しています。これは、コンマ一秒を争うレースにおいて、勝敗を分ける重要な要素と言えるでしょう。
このように、涙滴型ボディと後流渦の関係は、抵抗の軽減という観点から非常に密接に関係しています。自然界から生まれたこのフォルムは、私たち人間が作り出す乗り物や道具など、様々な分野で応用され、より速く、より効率的な移動を実現する鍵となっているのです。
レーシングカーにおける後流渦

モータースポーツの世界では、コンマ一秒を争うデッドヒートが繰り広げられます。その勝敗を分ける要素の一つに、「後流渦」と呼ばれる現象が存在します。
後流渦とは、走行中の車が空気の抵抗を受ける際に、車体の後方に発生する渦状の空気の流れのことです。この後流渦は、後続車を不安定にさせるだけでなく、空気抵抗を増大させる要因となります。
特に、レーシングカーにおいては、その影響は顕著です。
後続車は、先行車の発生させる後流渦の影響を大きく受けてしまい、スピードが出せなくなってしまうのです。逆に、先行車を追い抜く際には、この後流渦を上手く利用することが重要になります。
近年では、この後流渦を制御し、空気抵抗を減らしつつ、ダウンフォース(車体を地面に押し付ける力)を増加させるために、様々なエアロパーツが開発されています。
レーシングカーの設計において、後流渦は極めて重要な要素となっており、その制御がレースの勝敗を大きく左右すると言っても過言ではありません。
スリップストリームと後流渦

レースの世界では、僅かな差が勝利と敗北を分ける。特に、高速で走行する車やバイクにとって、空気抵抗は無視できない要素となる。この空気抵抗を減らし、加速力を得るために巧みに利用されるのが「スリップストリーム」だ。
スリップストリームは、前方を走る車両が空気をかき分けてくれることで、その後方に発生する空気の乱れの少ない領域のことを指す。この領域では、空気抵抗が減少し、後続車は少ないエネルギーで加速することが可能となる。
しかし、スリップストリームは諸刃の剣でもある。なぜなら、空気抵抗の少ない領域と隣り合わせに、空気の渦「後流渦」が存在するからだ。この後流渦は、車両の速度差や形状によって複雑に変化し、予測困難な動きを見せる。
後続車が不用意に後流渦に巻き込まれると、車両のバランスを崩したり、想定外の揚力が発生したりするなど、コントロールを失う危険性がある。スリップストリームの効果を最大限に活かしつつ、後流渦の脅威を回避することが、レース展開を左右する重要な戦略となるのだ。
後流渦がもたらす未来の自動車

レースの世界では、ほんのわずかな空気抵抗の違いが勝敗を大きく左右します。特に、走行する車両の後方に発生する「後流渦」と呼ばれる渦状の空気の流れは、空気抵抗を増大させ、後続車を不安定にするため、長年、技術者たちの頭を悩ませてきました。
しかし近年、この後流渦を逆手に取り、空気抵抗を減らし、燃費向上や安定性向上に利用しようという研究開発が自動車業界で注目を集めています。コンピューターシミュレーション技術の進歩により、後流渦の発生メカニズムを詳細に解析できるようになったことで、車体の形状やリアスポイラーのデザインを最適化し、後流渦を積極的に制御することが可能になりつつあります。
将来的には、後流渦を制御することで、より少ないエネルギーで効率的に走行できる自動車や、高速走行時の安定性と静粛性を飛躍的に向上させた自動車が誕生するかもしれません。後流渦は、単なる空気抵抗の要因ではなく、未来の自動車の進化を促す、大きな可能性を秘めているのです。
