EVの進化：デフレス方式とは？
車を知りたい
先生、「デフレス方式」って、電気自動車の駆動装置で差動歯車を使わない方式って書いてあるんですけど、差動歯車がないとどうなるんですか？
自動車研究家
良い質問ですね。差動歯車、つまり「デフ」は、車がカーブを曲がる時に、内側のタイヤと外側のタイヤの回転差を吸収する役割があります。もし、デフがないと、カーブでタイヤが滑ったり、車体に負担がかかったりしてしまうんです。
車を知りたい
なるほど。じゃあ、デフレス方式だと、どうやって回転差を吸収するんですか？
自動車研究家
デフレス方式の電気自動車では、左右のタイヤにそれぞれモーターがついていて(インホイールモーター)、そのモーターの回転を個別に制御することで回転差を吸収しているんです。だから、デフレス方式は、デフがない代わりに、高度なモーター制御技術が必要になるんですよ。
デフレス方式とは。
「デフレス方式」とは、電気自動車で使われる駆動方式のことで、従来の車に使われていた差動歯車(デフ)を使わないのが特徴です。この方式では、左右の駆動輪にそれぞれモーター（インホイールモーター）が取り付けられており、カーブを曲がる際に必要な左右の車輪の速度差は、それぞれのモーターを制御することで実現します。
デフレス方式の仕組み
従来のEVは、モーターと減速機を組み合わせた駆動システムを採用していました。しかし、デフレス方式では、その名の通り減速機（ディファレンシャルギア）をなくし、モーターの回転を直接タイヤに伝える構造になっています。 これにより、エネルギー損失が減少し、EVの航続距離を延ばせるというメリットが生まれます。また、部品点数も減るため、軽量化やコスト削減にも繋がると期待されています。
従来のデフとの違い
従来のガソリン車では、カーブをスムーズに曲がれるよう、左右のタイヤの回転差を調整する「デファレンシャルギア（デフ）」が搭載されています。しかし、EVにおいてこのデフは、重量やエネルギー損失、駆動系の複雑化など、いくつかの課題を抱えています。そこで登場したのが「デフレス方式」です。
デフレス方式のメリット
従来のEVとは異なる駆動方式として注目を集めているデフレス方式。その最大のメリットは、駆動モーターやインバーターといった主要部品を車輪近くに集約できる点にあります。この構造により、車内空間を広く確保できるだけでなく、車両設計の自由度が飛躍的に向上します。また、従来のエンジン車では難しかった、左右の車輪を個別に制御することも容易になります。これにより、旋回時の安定性や悪路走破性の向上が期待できるなど、走行性能の進化にも大きく貢献する技術と言えるでしょう。
デフレス方式の課題
デフレス方式は、EVの新たな可能性を広げる技術として注目されていますが、克服すべき課題も存在します。例えば、駆動モーターの小型化が挙げられます。従来のギアやシャフトが不要になる一方で、モーター自体に高い出力と耐久性が求められるため、技術的なハードルが存在します。また、コスト面も課題と言えるでしょう。デフレス方式は、高性能なモーターや制御システムが必要となるため、従来の方式と比較して製造コストが高くなる可能性があります。さらに、メンテナンスの複雑さも挙げられます。駆動系がシンプルになる一方で、故障発生時の特定や修理には高度な技術と設備が必要となる可能性があり、整備体制の拡充も課題となります。
今後の展望
デフレス方式は、EVの低価格化、航続距離の延長、そして安全性向上に貢献できる可能性を秘めています。特に、従来の構造では難しかった車体設計の自由度向上は、デザイナーに新たな可能性を提供し、より魅力的なEVが登場する可能性も秘めています。
しかし、デフレス方式は発展途上の技術であり、克服すべき課題も存在します。例えば、駆動モーターやインバーターの小型化、高出力化、そしてコスト削減などが挙げられます。これらの課題を解決し、デフレス方式がEVの新たなスタンダードとなるためには、自動車メーカーや部品メーカーによる技術開発の加速が不可欠と言えるでしょう。