クルマ開発の立役者!加振機とは?
車を知りたい
先生、自動車の振動試験で使う『加振機』って、どんな種類があるんですか?
自動車研究家
いい質問だね!加振機には、機械式、油圧式、動電型、圧電型など、色々な種類があるんだよ。
車を知りたい
そんなに種類があるんですね!それぞれどんな特徴があるんですか?
自動車研究家
例えば、機械式は大きな力で振動させられるから、フレームやシャシーなどの強度試験に適しているんだ。油圧式は、小さいけど幅広い周波数で振動させられて、色々な部品に使えるんだよ。動電型は中・小物、圧電型は更に高い周波数で振動させることができるんだ。このように、それぞれ特徴に合わせて使い分けるんだよ。
加振機とは。
自動車の部品や車体全体の振動や騒音を調べるために使われるのが「加振機」です。これは人工的に振動を作り出す装置で、振動のさせ方によって機械式、油圧式、動電型、圧電型の種類があります。
機械式は低い周波数で大振幅の振動を起こせるため、フレームやシャシー部品など大きな部品の強度や耐久性を調べる試験に適しています。
油圧式は小型ながら大振幅の振動を発生させることができ、低い周波数から1kHz程度までの幅広い周波数帯に対応しています。また、自由自在な波形を作り出せるため、車体やシャシーを始め多くの部品の振動解析、強度試験、耐久試験に広く活用されており、複数の加振機を組み合わせるロードシミュレーターにも利用されています。
動電型は油圧式よりも加振力は小さいですが、数キロヘルツまでの高い周波数帯の振動を発生させることができるため、中規模または小型の部品の試験に用いられます。
圧電型は数十キロヘルツまでの非常に高い周波数帯に対応できますが、加振力は小さいという特徴があります。
振動と騒音の謎を解き明かす『加振機』
快適なドライブを実現するために、クルマには様々な技術が詰め込まれています。静かで振動の少ない乗り心地も、その一つと言えるでしょう。しかし、目に見えない振動や騒音をどのようにして開発段階で発見し、解決しているのでしょうか?その答えの一つが「加振機」です。
加振機とは、振動を人工的に発生させる装置のこと。クルマ全体や部品に対して、走行中に発生する振動と同様の振動を加えることで、強度や耐久性を評価したり、異音の原因を特定したりする際に活用されています。
加振機を使うことで、実際に走行試験を行うことなく、様々な条件下での振動を再現することが可能になります。これにより、開発期間の短縮やコスト削減にも貢献しています。また、近年では、より精密な振動制御やデータ分析が可能になったことで、より高精度な評価が可能になっています。
加振機の種類と特徴
加振機には、その駆動方式や用途によって様々な種類が存在します。ここでは代表的な加振機とその特徴について解説して行きます。
まず、振動の発生方法で分類すると、「機械式加振機」「油圧式加振機」「電磁式加振機」の3種類に大別されます。
機械式加振機は、モーターの回転運動を偏心錘という重りのついた軸で振動に変換する方式です。比較的単純な構造で、小型のものから大型のものまで幅広く利用されています。振動数の調整範囲が広く、低周波から高周波まで様々な振動を発生させることが可能です。
油圧式加振機は、油圧シリンダーを用いて振動を発生させる方式です。機械式に比べて大きな力を発生させることができ、橋梁や建築物など大型構造物の振動試験に適しています。振動波形を自由に設定できるため、実際の地震波を再現した試験なども可能です。
電磁式加振機は、電磁石の力を利用して振動を発生させる方式です。高速な振動の発生や、精密な振動制御に優れており、電子部品や精密機器などの小型製品の試験に用いられます。静音性にも優れているという特徴があります。
それぞれの加振機は、一長一短の特徴を持っているため、試験対象や目的、予算などを考慮して最適なものを選定する必要があります。
機械式加振機:フレームやシャシー部品の強度試験に活躍
自動車の開発において、安全性や耐久性は最も重要な要素の一つです。その評価に欠かせないのが、様々な振動を人工的に発生させる「加振機」です。数ある加振機の種類の中でも、ここでは「機械式加振機」に焦点を当て、その役割と重要性について解説していきます。
機械式加振機は、モーターやカムなどの機械的な機構を用いて振動を発生させる装置です。主に、自動車のフレームやシャシー部品など、比較的大きな構造物の強度試験に用いられます。試験対象物に繰り返し負荷をかけることで、疲労強度や寿命を評価し、設計の妥当性を検証します。
機械式加振機の特徴は、大きな力を発生させることができる点です。巨大な構造物である自動車のフレームやシャシー部品を試験するためには、強大な力に耐えうる必要があります。機械式加振機は、その要求に応えることができるパワフルな装置と言えるでしょう。
油圧式加振機:車体やシャシーの振動解析に最適
自動車開発において、安全性や快適性を高めるために欠かせないのが振動試験です。路面からの振動が車体や乗員に与える影響を分析し、最適な設計にフィードバックすることで、より高品質なクルマを生み出すことができます。そして、この重要な振動試験で活躍するのが「加振機」です。
油圧式加振機は、その強力なパワーと高い耐久性から、主に車体やシャシーといった大型部品の振動試験に用いられます。油圧システムによって発生する大きな力で試験体を揺らし、現実の走行状態を模擬することで、強度や耐久性、振動特性などを評価します。 油圧式加振機は、振動の周波数や振幅を精密に制御することができるため、様々な走行条件を再現することが可能です。たとえば、高速走行時の振動や、悪路走行時の衝撃など、過酷な状況下における車体の挙動を分析することができます。
動電型・圧電型加振機:中・小物部品の試験に
自動車の開発現場で欠かせない試験装置の一つに「加振機」があります。加振機は、振動試験のために対象物に振動を与える装置です。様々な種類がありますが、今回は中・小物部品の試験に用いられる「動電型」と「圧電型」の加振機について解説します。
動電型加振機は、電磁石の原理を利用して振動を発生させる方式です。電流を流すと電磁石が上下に動くことで、接続されたテーブル上に設置した試験対象に振動を与えます。比較的大きな振動を発生させることができ、自動車部品の中でもエンジンマウントやシートベルトなど、ある程度の大きさ・重量のある部品の試験に適しています。
一方、圧電型加振機は、圧電素子という、電圧を加えると変形する性質を持つ材料を利用します。圧電素子に電圧をかけることで微細な振動を発生させます。動電型に比べて発生させることのできる力は小さいですが、高い周波数の振動を精密に制御できるという特徴があります。そのため、センサーや電子部品、コネクタといった小型で精密な部品の試験に最適です。
このように、動電型と圧電型は、それぞれ異なる特性を持つため、試験対象の部品の大きさや試験の内容に応じて使い分けられます。自動車開発において、これらの加振機は、部品の耐久性や信頼性を評価するために重要な役割を担っています。